Outline of Annual Research Achievements |
研究や技術開発をおこなっていく上で, 実験によって得られた事実を正確に記録することは最も重要な作業の一つである. しかし, どういったノートが良い実験ノートであるのかを学生時代から理解することは極めて難しく, 社会人となっても多くの経験を要する. にもかかわらず, 良い実験ノートを作る為に訓練できる機会は極めて少ないのが実状である. そこで本研究では, 良い実験ノートを学生自身に書いてもらいながら学ぶ開発型学生実験教材(テーマの選定・実験器材の製作・良いノートにするための学生へのフィードバック方法)についての研究を行った. 学生が, 実験ノートを正確に且つ整理して書くこと, 加えて考察を進める際に自分が読めるノートになるように導くための手法について試行しながら, 実験教材開発と指導方法についての検討を行った. 実験テーマは, 奥が深く且つ学生にとって見かけ上のハードルが低く感じられるものを選定し, 「電界と磁界」に関するテーマであるローレンツカによって導体がフレミングの左手の法則の向きに移動する原理を利用した「場の磁束密度の測定方法を開発する実験」を学生実験テーマとした. 高専の3年生を対象とした学生実験に適用し, 実験ノートの記入方法の指導をし易くするために, 実験データや方法および考察などをホワイトボードに記録させながら実験を進める方法を取り入れた. ボード(ノート)への記録方法としてコーネルメソッドを用いた. 結果として, 実験中にグループ全員が同じノート(ホワイトボード)を使って議論していきながら, 思考のプロセスや結果, 考察も含めて共有することで, 実験を進めながら議論の訓練とより良い実験ノートを作る訓練を同時に行うことが出来た. 全員が詳細な実験ノートを用意することにより, レポートの考察が本質に踏み込んだ内容になるなど, レポートの質に好影響がみられた.
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