Outline of Annual Research Achievements |
(研究目的) 北陸地方では「地産地消」および「環境負荷低減」の観点から, この地方で産出されるフライアッシュを積極的に活用することが期待されている。一方, この地方の石炭火力発電所において, フライアッシュのⅡ種灰をさらに分級化する技術が開発され, 高品質なフライアッシュ(Ⅰ種灰相当)の供給体制が確立された。このような高品質なフライアッシュを15%内割置換したコンクリートの強度発現性とフライアッシュ粒子のポゾラン反応相の生成過程との関連性を微視的な内部組織の観察により調べた。 (研究方法) 1. フライアッシュコンクリートの強度発現性 石川県の七尾大田火力発電所から搬出される分級フライアッシュ(JIS Ⅰ種灰相当品)を使用して直径10cm×高さ20cmの円柱供試体を作成し, 異なる条件下(1. 水中浸漬養生(温度20℃の水中養生) 2. 金沢大学構内での屋内暴露養生)にて暴露した。所定の材齢において測定(圧縮強度, 超音波パルス伝播速度, 水銀圧入式ポロシメーターによる細孔径分布)を行った。 2. フライアッシュコンクリートのポゾラン反応生成物に関する微視的評価 圧縮強度試験終了後の断片試料を用いて, 電界放出形走査電子顕微鏡によりポゾラン反応生成物と微細組織の観察を行った。 (研究成果) 1. フライアッシュを15%置換した試験体では, 粗大な空隙が減少しセメントペーストが緻密になっていた。また, フライアッシュを分級化する事により, ポゾラン反応性が良好になっていた。一方, ポゾラン反応はフライアッシュ表面のみが関与しており, 内部組織の緻密化に貢献していた。 2. フライアッシュコンクリートは, 暑中および寒中環境下においても, 十分な水分供給を確保する事で良好な強度発現性が得られることを確認できた。
|