平成29年度は次の3項目を中心に調査・研究を行った。 (1) 先駆植物イタドリのスコリア原での消長および根系の調査 (2) スコリア原におけるイタドリパッチからの距離と土壌動物と関係 (3) スコリア原におけるアリの生態 研究成果 (1) ①4カ所に方形区を設置し、2年間にわたり、どのような植物が発芽して、夏の暑さや乾燥および冬の寒さや季節風に耐えられるかを追いかけている。結論は出ていないが、先駆種として旺盛な成長を見せるイタドリも必ずしも多くの個体が残るわけでないことがわかってきた。今後もその消長を追っていきたい。また、ニシキウツギやハチジョウイタドリも生えてくるが、生存率はイタドリよりさらに低い。こちらも併せて今後の動向を追っていきたい。 ②水分が少ない環境で、イタドリは根系を発達させてきていることがわかった。地上部に比べて大きく発達した根系で明け方の結露などを利用していると思われる。 ③学校内にスコリアでできた実験園を作った。ここにいろいろな種をまいて、発芽率や生存率を測定する予定である。 (2) パッチから1mごとにスコリアを採取して土壌動物を調査した。予想通りパッチから離れると土壌動物の個体数は減っていったが、特異的に数が多い場所もあった。引き続き調査を行う予定である。 (3) 冬と夏と秋、昼と夜、えさの種類などを変えて、調査を行った。2種類のアリがスコリア原に生息していることがわかった。今後はそれぞれのアリが、どのようにスコリア原を利用しているかを調査していく予定である。 (1)(2)(3)とも本校生徒とともに調査を行った。研究成果は(1)は日本生態学会(2)は日本土壌動物学会(3)は日本霊長類学会などの高校生ポスター発表で報告した。また全体については、研究代表者が、日本生物教育学会熊本大会で口頭発表した。
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