血清中濃度モニタリングに基づく抗悪性腫瘍剤投与量個別化の可能性検証
Project/Area Number |
16H00505
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
薬学Ⅱ
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奈良 克彦 東京大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2016
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2016)
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Budget Amount *help |
¥570,000 (Direct Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2016: ¥570,000 (Direct Cost: ¥570,000)
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Keywords | 骨髄抑制 / SP療法 / 胃癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
2008年4月~2015年12月までに東京大学医学部附属病院に入院し、進行・再発胃癌に対するS-1+CDDP併用療法(以下、SP療法)を受けた患者を対象とした。その患者群の中でSP療法実施期間内の血算検査において、好中球数<2000/μL、または血小板数<100,000/μLまで低下した症例を骨髄抑制有群と定義し、骨髄抑制無群と比較して無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、病理学的組織奏効率の比較を行った。なお、病理学的組織奏効率は胃癌取扱い規約に従い、GradeO-1aとGrade1b-3の2群に分類、Grade 0-1aは無効、Grade 1b-3を有効と定義した。除外基準としては術後補助化学療法の早期再発症例、治療開始前の血液検査で好中球数2000/μL未満、または血小板数100,000/μL未満の症例とした。 同期間中にSP療法を施行された患者207名のうち、除外基準に該当した24名を除く183名を調査対象患者とした。術前補助化学療法(NAC)施行患者11名を除く切除不能進行再発胃癌患者172名(血液毒性有148名、無24名)を対象として血液毒性と予後の検討を行ったところ、生存期間は血液毒性有群で有意に良好であった(PFS、7.0ヶ月 vs 4.2ヶ月、P<0.01 ; OS、17.3ヶ月 vs 14.1ヶ月、P=0.02)。次に、病理学的組織奏効率の情報が入手可能であった31名(NAC 11名、Conversion 20名)に関して奏効率と血液毒性の関連性について検討を行い、その結果、血液毒性有群で有意に良好であった(血液毒性群 有効/無効=16/4、血液毒性無群 有効/無効=2/9 P<0.01)。 これらの結果から骨髄抑制はSP療法の良好な効果予測因子になる可能性が示唆された。さらに、骨髄抑制有群では原発巣に対しての奏効率も有意に良好であり、骨髄抑制が生存期間の延長に寄与することが新たに明らかとなった。そのため、今後は生化学検査後残血清を用いて、血中濃度と毒性、効果が相関するかさらに検討を重ねていく。 なお、本研究の成果の一部は、第26回医療薬学会年会にて口頭発表(優秀演題賞の最終候補にのみテート)された。
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Report
(1 results)
Research Products
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