ドパミン神経機能に着目した抗がん剤による報酬機能異常の発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
16H00512
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
薬学Ⅲ-A
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
江角 悟 岡山大学病院, 薬剤主任
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Project Period (FY) |
2016
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2016)
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Budget Amount *help |
¥570,000 (Direct Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2016: ¥570,000 (Direct Cost: ¥570,000)
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Keywords | 脳内自己刺激行動 / 抗がん剤 / tyrosine hydroxylase |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】 申請者はこれまでに、抗がん剤であるドキソルビシンおよびシクロホスファミド反復投与による報酬機能障害は、現在汎用される抗うつ薬によっては十分に改善されない可能性が明らかにしている。抗がん剤による報酬機能異常にはドパミン神経の異常が関与していると考えられるが、抗がん剤による報酬機能異常およびドパミン神経の異常については国内外を通じてこれまで全く報告されておらず、実際に報酬機能障害を生じた動物の脳内で、ドパミン神経に異常が存在するのか明らかでない。以上のことから申請者は、抗がん剤の反復投与による中枢ドパミン神経への影響を評価する目的で、抗がん剤反復投与による報酬機能障害モデルラットにおけるドパミン神経の機能変化を免疫生化学的手法を用いて解析した。 【研究方法】 脳内自己刺激行動を獲得したラットに対して抗がん剤(ドキソルビシン2mg/kgおよびシクロホスファミド50mg/kg)を週1回、3週間反復投与し、抗がん剤投与直前に30分間脳内自己刺激行動を行わせ経時的な報酬機能を評価した。 【研究方法】 ラットのレバー押しによる報酬獲得数は経時的に低下し、投与開始3週目には投与開始直前およびコントロール群と比較して有意に報酬獲得数が低下した。このようなラットの脳を灌流固定後に摘出し、中脳辺縁系ドパミン神経細胞の神経終末である側坐核において、ドパミン生合成の律速酵素であるtyrosine hydroxylaseおよび細胞間隙に放出されたドパミンの再取り込みに関わるdopamine transporterの発現量を免疫組織学的手法により検討した。その結果、側坐核におけるtyrosine hydroxylase発現量がコントロールと比較して有意に低下した。以上の結果から、抗がん剤による報酬機能障害は中脳辺縁系におけるドパミン合成の低下と関連する可能性が示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
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