メロペネム(MEPM)は広域スペクトラムとグラム陰性菌への強い抗菌力を有するカルバペネム系抗菌薬であり、重症感染症の初期治療として選択されることが多い。MEPMの投与量については、腎機能に応じた用量設定がある。しかし、敗血症のような重症感染症の場合には、輸液負荷や血管透過性の亢進を原因とする分布容積の変動、多臓器不全、CHDFのような腎代替療法の導入など様々な因子が薬物動態に影響を与えることが考えられる。そのため、重症感染症患者では、これらの影響因子を組み込んだモデルを構築することで、MEPMの動態予測の精度が上がり個体差を反映した投与量設定が可能となり、治療成績の向上に寄与する可能性があるのではないかと、申請者は考えている。そこで、集中治療室に入室しMEPMの投与を受ける患者を対象として、MEPMの薬物動態解析を行った。本年度は当院集中治療室でMEPMが投与された9症例について、薬物動態を検討した。MEPMの投与後1、2、6、9、12時間の血清中濃度をHPLC/UVにより測定し、1-コンパートメントモデルにより薬物動態パラメータを算出した。対象患者9症例の腎機能は30≦CCr≦50であった。MEPMの薬物動態パラメータは、CL=5.6±1.8L/hr、T_<1/2>=3.4±1.3hr、k_<e1>=0.26±0.16hr-1、Vd=19.6±5.7Lであった。現在、重症感染患者における母集団パラメータの構築することを目的に、対象の症例を増やし薬物動態の評価を継続している。
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