Project/Area Number |
16H00722
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
健康・スポーツ科学
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
鈴木 啓太 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 嘱託助手
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Project Period (FY) |
2016
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2016)
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Budget Amount *help |
¥560,000 (Direct Cost: ¥560,000)
Fiscal Year 2016: ¥560,000 (Direct Cost: ¥560,000)
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Keywords | ラグビー / 脳振盪 / タックル技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラグビーは他のコンタクト・コリジョンスポーツと比べて、脳振盪の発生率が高いことが知られている。近年のWorld Rugbyでは脳振盪を起こした選手の対応に力を入れており、脳振盪を診断、発生後の安全体制が整う一方で、脳振盪の発生予防に対する取り組みは未だ継続的な課題である。ニュージランドや南アフリカなどでは、独自の外傷予防プログラムを導入しているが、脳振盪の予防効果は未だ一定の成果を得られていないのが現状である。そこで本研究では、ラグビー選手のタックルした時に発生する脳振盪の受傷メカニズムを明らかにし、脳振盪発生の危険因子を考慮したタックル技術の分析を行い、脳振盪予防に向けた指導マニュアルを作成することを目的とした。 1つの大学ラグビーチームを対象に、既存の外傷・障害調査システムに記録された2008年から2013年の計6シーズンに渡る外傷・障害データから、試合中に発生した脳振盪の記録を抽出した。映像記録から「タックルをした時」に発生した脳振盪を特定し、比較対象として脳振盪を受傷していないタックル場面を同一試合内から抽出した。映像記録から抽出した全タックル場面について、タックル技術の分析を行った。 6シーズンで、試合中に発生した脳振盪は56件であり、そのうち40件は映像記録から受傷場面が特定できた。また、映像記録から特定できた40件のうち、23件の脳振盪がタックルをした時に発生していた。脳振盪の発生とタックルの特徴の関係を探るため、多項ロジスティック回帰分析を行った結果、脳振盪を受傷する危険性の高い特徴、脳振盪を予防する特徴が抽出された。肩が最初にコンタクトしたタックルと比べて、肩や腕を使わないでコンタクトしたタックルやタックルをした選手の頭頸部が最初にコンタクトしたタックルはタックルをした選手の脳振盪発生のリスクが有意に高かった。一方で、ボールを持った選手がタックルをした選手にまっすぐ向かってきた場合と比べて、ボールを持った選手がサイドステップでタックルを避けようとした際、タックルをした選手の脳振盪発生のリスクが有意に低くなることが示された。 本研究の結果は、脳振盪発生予防に対する啓発に繋がることが期待される。今後は本研究結果を用いた教育的効果の検討をしていく。
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