Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
自己内省は抑うつの低減に寄与する適応的な自己注目と考えられている。本研究では自己内省と脳活動の関連を検討し、自己内省の神経基盤を解明する。さらに、その結果をもとに自己内省の誘導法を開発することを目的としている。不適応的自己注目については近年の脳画像研究により神経基盤が明らかにされている。課題などに取り組んでいない安静時には内側前頭前皮質、後帯状皮質、内側側頭葉などの複合領域に賦活が見られる。安静時における上記複合領域のネットワークは不適応的自己注目と関連すると考えられている。その一方で自己内省のような適応的な自己注目と安静時ネットワークがどのように関連するかは不明である。本年度は機能的磁気共鳴画像法 (fMRI) により安静時ネットワークを測定することで自己内省と関連する「内省的ネットワーク」を明らかにすることを目的とし、大学生を対象としたデータ収集を主に行った。まず数名を対象とした予備実験を行い、安静時脳画像撮影を行う撮像プロトコルの調整をした。本実験では安静時fMRI撮像を12分間行った後、自己内省やその適応性に関連する変数を質問紙により測定した。本実験データとして、大学生27名分のデータを取得し、予備的なデータ解析に着手している。今後は70名ほどのデータを追加取得し、Independent Component Analysisにより参加者個々人の安静時の脳活動パターンを解析する。さらに、Seed Based Analysisにより、自己内省得点と相関する安静時脳活動パターン(内省的ネットワーク)を同定する。さらに、不適応的自己注目と相関する安静時脳活動パターンとも対比することで自己内省の神経基盤の特徴を明らかにし、自己内省誘導法の開発を検討していく。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。