Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
1・2年目の調査研究より、学校が普及する過程および教育の質を改善する過程に、各学校に在籍する生徒が、学力および経済力に基づいて淘汰されていることが明らかとなった。学校の無計画な増設は、現状のケニアの教育制度においては学校間競争を招き、ひいては新たな不公正を生みだしている状況にあった。このため、3年目にあたる本年度は、そもそもいかなるプロセスで中等教育が普及するのか、その動態を明らかにすることを目的とした。分析では、ケニア独立以降に興隆した「ハランベー」という学校設立運動にヒントを得ながら、現代の文脈における学校設立を検討している。なおハランベーでは、地域住民に参加の義務があったが、富裕度によって貢献すべき金額などには多寡があったという特徴が挙げられる。前年度2~3月に実施した中等学校5校におけるフィールドワークに基づく事例分析の結果、以下の点が明らかとなった。まず、学校設立へ寄与する「地域」とは、生徒の保護者や特定の年長者のことを指し、地域住民一般を意味するわけではなくなっていた。学校設立の主導者は、初等学校の校長や地方行政職員などの公務員であり、その動機は、昇給や地域における名誉など私的に得られうる利益にも基づいていた。ハランベー集会は実施されていたが、そこにおける保護者の拠出額は、その富裕度に応じず同一であった。一方、ハランベーで集金された金額の大部分は、地方政治家によるものであり、彼らの拠出額にはそれぞれ多寡がみられた。学校は、地域住民よりもむしろ、そのような地方政治家および保護者からお金を得る手段としてハランベーを企画していたといえる。以上より、学校設立の起点は、地域の特定の有力者を中心とする地域資源の有無に委ねられ、特定の立場にある地域住民が、彼らの利益や責任を契機とし設立を支えていることが明らかとなった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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澤村信英編著『発展途上国の困難な状況にある子どもの教育』
Volume: 明石書店 Pages: 223-242
アフリカ研究
Volume: 95
130007849746
ボランティア学研究
Volume: 18号 Pages: 85-97
130007868725
未来共生学
Volume: 5号 Pages: 318-329
120006454978
Volume: 5号 Pages: 435-438
120006454987
国際開発研究
Volume: 26巻2号 Pages: 113-130
130007716645
比較教育学研究
Volume: 第54号 Pages: 88-109
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国際教育協力論集
Volume: 第19巻1号 Pages: 75-87