Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本研究は、初期太陽系年代学の基準隕石を確立することにより、「惑星間スケール」で「絶対年代を加味」した初期太陽系における元素分布の均質性の検証を行うことを目的とし、高精度でウランー鉛年代が決定されている隕石について、クロム・チタン安定同位体分析と短寿命同位体系列の年代測定を行う。平成30年度には、隕石試料の短寿命同位体ニオブージルコニム系列の年代測定を実施してきた。2010年に発見された始原的エコンドライトNWA6704は、古いウランー鉛年代を示し、Hibiya et al. (2019)における鉱物化学的研究から「ニオブージルコニウム年代測定が可能」で、「結晶化時の冷却率が速く」、「高精度な年代決定を阻む異質性物質を殆ど含まず」、クロム・チタン安定同位体分析から「炭素質コンドライトと同様に外側太陽系に起源をもち」、短寿命核種ニオブ92の外側太陽系における初生比の決定に最適な隕石であることが明らかになった。そこで本研究では、NWA6704隕石のニオブージルコニウム鉱物アイソクロンを決定し、ニオブ92の初期太陽系における均質性を初めて「太陽系の外側と内側という大きな空間スケールで」評価した。NWA6704の鉱物アイソクロンから推定された太陽系形成時のニオブ92の初生比は、内側太陽系のニオブ92初生比と比較して顕著に高く、本研究により初期太陽系におけるニオブ92の不均質が初めて明らかになった。また、得られたニオブ92の初生値は、タイプIa超新星爆発で生成される値では説明できず、タイプII超新星爆発におけるニュートリノ反応によって説明が可能である。ニオブ92が短寿命核種であることを考慮すると、本研究の結果は、太陽系形成の直前に起こったタイプII超新星爆発物質が、外側太陽系に選択的に取り込まれて保存されていたことを示唆し、同位体二分性の起源解明に貢献できる可能性がある。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Geochimica et Cosmochimica Acta
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