他者共生の技法と倫理:フィリピン農村における憐れみのポリティカル・エコノミー
Project/Area Number |
16J11273
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Area studies
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白石 奈津子 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2017)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2017: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2016: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | フィリピン地域研究 / 農村社会経済 / エスニック・マイノリティ / 共同性 / 集団性 / 共生 / 農村社会 / 共生倫理 / 人類学 / 経済関係と文化実践 / 包摂と排除 |
Outline of Annual Research Achievements |
フィリピンにおける先住民社会と農村社会に関する先行研究は数多く存在するもののそれらを鑑みた際、両者の地理的隣接性にもかかわらず、互いを架橋する試みが十分に行われ来なかった。また、同国のエスニシティをめぐる研究は、社会運動などの主に公共空間において展開されるそれをを中心に論じてきており、個人の生やエスニック境界における親密な関係項におけるエスニシティの立ち現れと交渉のされ方への着目が圧倒的に不足していた。 本研究は、以上のような先行研究が抱えてきた問題点を、それぞれに描かれてきた二つの社会(【先住民社会】と【農村社会】)にまたがったフィールドワークを行い、両者の関係や、そこで生じる出来事を双方の視点や供述から描くという手法によって補うことを目指した。具体的には、フィリピン、東ミンドロ州の、低地民タガログ(Tagalog)/山地民マンヤン(Mangyan)と呼ばれる人々が生きる社会を対象に、日々の生活、特に経済活動の場面において、エスニックな現実がどう生きられ、交渉されているかを明らかにすることを課題とした。研究には、参与観察と経済悉皆調査によって収集されたデータを中心に用いた。 研究の結果、本研究の農村社会共同性原理とエスニシティを接合させた試みは、共同体倫理をめぐる研究への貢献を与えうることが見出された。J.スコットに代表されるモラル・エコノミー論をはじめとした共同体倫理言説は、そこに参与する人々の間で道徳性や行動規範をめぐる合意が成立していることを前提とした上で、社会的弱者による戦略的交渉が可能となっていることを論じた。だが、本研究の議論は、ふたつのエスニック集団間で、道徳が依拠する根拠に差異やずれがある中で、時にネガティブに働くそうした差異が、関係を作る文脈に重層的に作用し、「縦の抑圧か、横の平等・連帯か」を超えた形での関係の力学が見出し得ることを示したのである。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Fieldwork News2016
Author(s)
白石奈津子
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Journal Title
Asian and African Area Studies
Volume: 16
Issue: 1
Pages: 100-119
DOI
NAID
ISSN
1346-2466, 2188-9104
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Open Access
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