Project/Area Number |
16K05981
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Research Field |
Materials/Mechanics of materials
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
徐 道源 九州大学, 工学研究院, 学術研究員 (60534807)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2016)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2017: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2016: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | X線トモグラフィー / 統計解析 / ダイカスト鋳造材 / 疲労 / 3D統計 |
Outline of Annual Research Achievements |
位相コントラストイメージングを4Dトラッキング技術と組み合わせて,ミクロポアや疲労き裂など材料内部組織を3D可視化し,それらを高精度に同時追跡した。 疲労き裂発生過程におけるその場観察を多数回繰り返すことにより,疲労き裂の起点となったミクロポアを多数抽出し,その他のミクロポアと分離することができた。また,その場観察の試験片内のミクロポアの球相当直径のヒストグラム解析から1.5~15マイクロまで分布していることを分かった。疲労き裂の起点となったミクロポアは比較的大きく,鋳肌近傍に存在するが,疲労き裂の起点とならなかったミクロポアの分布とほとんど同様な傾向であった.したがって,単一のミクロポアの性状と,疲労き裂発生とは一義的な対応が得られないことがわかった.そこで,隣接するミクロポアとの相互関係を含め,このような評価を2つのミクロポアのペアに拡張して疲労き裂発生への影響を検討した。 表面直下のミクロポアと疲労き裂発生との関係性を評価するため,ミクロポアの空間的な分布・配置を幾何学的に評価する45個のパラメータを算出した。それぞれ得られた多数のパラメータを統計学的に解析するためには,主成分分析などのデータ粗視化と統計学的解析が必要である。主成分分析においては,多くの変数により記述された量的データの変数間の相関を排除し,できるだけ少ない情報の損失で,少数個の無相関な合成変数に縮約して,疲労き裂発生と相関の強いパラメータを絞り込みすることで,この分析は,予定通りH29-H30年度に研究する予定である。 各要素技術および統計解析の適用に関する成果発信も国内学会での発表を通じて活発に行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鋳肌表面直下に存在するミクロポアに着目し,疲労特性を統計的に評価した。供試材はAC4CHである。試験片は,T6処理した部材から鋳肌を残したまま採取した。疲労試験は,応力120~160 MPa,応力比+0.1,周波数30 Hzで行った。異なる応力レベルの疲労寿命を計測した。破壊原因毎に分類してその統計解析を行った結果,低応力レベルではミクロポアが疲労き裂発生に対して支配的となるため,鋳肌表面直下のミクロポアの存在により疲労寿命は著しく低下した。鋳肌近傍でミクロポアが密集した所が起点となって疲労き裂が発生する様子を,多数にわたる実験により観察することができた。 X線マイクロトモグラフィー撮像は,放射光施設SPring-8のBL20XU,BL47XUで行って,疲労き裂発生過程その場観察した。SPring-8のその場観察セットアップを用い,外部負荷など外乱下のミクロ組織を連続的に3D撮影した。再構成画像の画素サイズは約(0.5 um)3であった。疲労試験の最後段階に,試料組織の電子密度差を吸収よりも高感度に検出できる位相コントラストイメージングから組織内の微小疲労き裂の3Dイメージを取得・比較し,マスク処理により微小疲労き裂上のミクロポア・粒子などを抽出した後,時間を遡って初期画像まで,高精度で追跡した。表面直下のミクロポアと疲労き裂発生との関係性を評価するため,ミクロポアの空間的な分布・配置を幾何学的に評価する45個のパラメータを定量的に算出し,試行を繰り返して改良を進めている。 この様に,ほぼ計画通りに研究が進行し,開発完遂に向けて順調に推移している。これらの理由で,研究はおおむね順調に進展しているものと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度には,試料を疲労試験しながらX線を走査し,疲労き裂発生挙動を連続的に3D撮影と共にミクロポアなど内部ミクロ組織の各位置を解析するファティーグ・スキャンCT(In-situ 4D観察)技法を開発する。これについては,基礎的な実験を先行して開始した。また,H28年度に開発した位相コントラスト・4Dトラッキング技術とファティーグ・スキャンCT技術を組み合わせ,疲労による変形・破壊挙動を4D表示し,全ミクロポアの変形後の位置をすべて特定できる新技術を完成する。そして,その基盤技術の完成を受け,疲労き裂発生過程の4D観察(In-situ技法)より,ポアとき裂の4D追跡から変形・損傷破壊挙動を定量評価する。 膨大な数のミクロ組織のうち,所望する特性に直接大きく影響する,極めて限定された種類,性状,領域のミクロ組織(微小疲労き裂上のミクロポア等)を特定した後,超大情報量となる3D/4D組織情報を粗視化により,徹底して取捨選択する。空間的分布を含む形態,結晶学的情報,化学成分情報を全てパラメータ化してマクロ特性との関係を評価し,統計学的解析により低次元化する様々な方法について検討してみる。
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