川崎病の病態における好中球細胞外トラップ(NETs)の関与とその制御機構の解明
Project/Area Number |
16K10082
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Research Field |
Pediatrics
|
Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
竹下 誠一郎 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, その他, 教授 (50369542)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 陽一 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 小児科学, 助教 (10648801)
野々山 恵章 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 小児科学, 教授 (40280961)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2018)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2018: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2017: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2016: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
|
Keywords | 川崎病 / 血管炎 / 好中球細胞外トラップ / NETosis |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular traps, NETs)という新たな細胞外殺菌機構が発見され、核内のクロマチンで構成される網目状の構造物に好中球elastase(NE)やmyeloperoxidase(MPO)などの抗菌蛋白を付着させて細胞外に放出することによって病原微生物を捕捉・殺菌するとされる。この過程は従来のnecrosisやapoptosisとは異なるタイプの細胞死ということでNETosisと名付けられた。NETosisに伴って細胞外に放出されたDNAやヒストン及び抗菌蛋白は生体防御機構に関与する反面、強力な組織傷害性を発揮することも知られている。NETsの放出によって血管内皮細胞傷害が引き起こされるとともに、血小板が活性化されて血栓形成の原因となりうる。 我々は、川崎病(Kawasaki disease, KD)の病態におけるNETsの関与を検証するため、①まずKD急性期の患児から分離した好中球をin vitroで培養し、HoechetによるDNA染色、MPO染色、NE染色によってNETs形成数を蛍光顕微鏡でカウントした結果、KD急性期のNETs形成は回復期や健常コントロールに比較して有意に高値を認めた。②次に、NETosisに伴い細胞外に放出されたcell-free DNAを培養上清から精製し、DNA中のハウスキーピング遺伝子であるリボヌクレアーゼPを標的としたリアルタイムPCRを実施してcell-free DNAの絶対定量を行った結果、KD急性期は健常コントロールに比較して有意に高値であった。③さらに、NETosisに伴い細胞外に放出されたDNAに付着した好中球エラスターゼを培養上清から抽出し、NEを標的としたELISAで測定した結果、同様にKD急性期は健常コントロールに比較して有意に高値であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
川崎病(Kawasaki disease, KD)の病態におけるNETsの関与を検証するためには、KD急性期の患児の末梢血から分離した好中球をin vitroで培養し、免疫染色(HoechetによるDNA染色、MPO染色、NE染色)する必要がある。好中球の寿命は短いため採血後すぐに処理する必要があり、夜間や休日等に入院した患児からの検体を得られない場合がある。また、KD患児のほとんどは1歳前後の乳幼児であるため、1回の採血量は数mlに限られ、十分な好中球数を得られない場合も多い。当院では年間40例近いKD患児の入院があるが、現時点で得られたデータは28例前後である。さらに、対照群として健常コントロール群が必要になるが、informed consentを得る必要があるため、現時点では数例のみである。 従って、現時点では論文にまとめるまでの症例数には達しておらず、3年目が終了した現在までの進捗状況は、当初の計画に比べて「遅れている」。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究自体は良好な結果が得られつつあるため、基本的な方針は今後も変更しない予定である。研究の対象患児数がなかなか集まらない現状に対する方策として、①研究グループとして、夜間や休日等に入院した患児からの検体にも対応できる体制を作る、②周辺の関連病院や医療機関に協力を呼び掛けてKDの検体を得る、③対照群である健常コントロール群のデータ数を増やすことを考えている。さらに、平成30年度から研究助手を雇用して、研究全体の進行を早めている。
|
Report
(3 results)
Research Products
(20 results)