Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
|
Research Abstract |
平成18年度は,データ収集に関しては蔵王火山1895年噴火堆積物の調査を中心に行った.これと昨年までに行った安達太良1900年噴火および磐梯1888年噴火堆積物のデータとを比較することにより,10^<11>ないし10^<15>J規模の水蒸気爆発に伴う低温火砕サージ堆積物の特徴が判明してきた.3噴火間の共通性や各種パラメータの相関,ならびにセントヘレンズ1980年噴火堆積物と,発生した火砕サージ現象との比較から,低温火砕サージの実体が明らかになってきた. 研究期間を通しての成果 規模の異なる水蒸気爆発由来の低温火砕サージ堆積物を対象に,現地調査,層相解析,流度特性分析を行い,その地質学的特徴を記載し,データの定量化を図った.一方で,噴火現象を記述した資料の解読や,類似の噴火現象-堆積物対比研究例を参考に,従来行われてこなかった,個々の堆積物層と噴火事象との高解像度対比を試みた. 安達太良に関するその成果は藤縄・他(2006)にまとめられた.さらに,蔵王1895年噴火データを味することで,低温火砕サージの,一般則につながる系統性が判明してきた.検討3噴火に見いだされた共通性は,以下のようなものである.1)低温火砕サージは持続性の低い,希薄な火砕物流である.2)低温火砕サージを生じた爆発では,まず側方にベースサージ的高速希薄サージが拡がり,その後,噴煙柱(崩壊)由来の,より高密度なサージ(火砕物重力流)が続く.3)水蒸気爆発由来のサージは,湿度が高く,雰囲気中にはしばしば凝結した水滴が含まれている. この成果はAGU2006 Fall Meetingで発表され,世界の専門家にも興味を持たれ,有意義なコメントもいただいた.これをもとに成果を執筆中である.
|