Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究は、外来種であるブラックバスについて、新規の水産資源としての活用方法を見出すことを目的としており、この魚の一般的な栄養評価とその人工消化物等から高血圧予防に有効な成分を分離・精製することを目標として研究を進めてきた。当初の研究計画のうち、平成20年度研究期間内に実施できた内容は次のとおりである。本研究においてターゲットとしたのは、アンジオテンシン転換酵素(ACE)という血圧調整に関与する酵素であり、この酵素に対して阻害活性を有する物質は、生体に投与した場合、その血圧を下げる効果が期待できる。本研究ではラット肺から調製したACEを用いてin vitro実験が進められた。前年度までに、ブラックバスすり身をアルカリプロテアーゼで処理することにより、ACE阻害活性を有する物質(ペプチド)が生成される可能性を示唆するデータが得られていた。しかしながら、当初の計画に沿った調製法で準備したアルカリプロテアーゼ処理サンプル液を用いると、サンプル中の混在物の影響で、阻害活性の測定時にバックグラウンド値が高く、分離・精製を進める上で問題が生じていた。これに対しては、分離・精製の初期段階で適当な溶媒処理を行うことによって問題が解決することが判明した。この新しい手法を取り入れて目的物質の分離・精製を進めた。また、同時に自然発生型高血圧ラットに投与することで、生体に対する血行動態上の作用を検討した。その結果、粗精製物の段階においてラットの血圧を低下させる傾向が観察された。