中世日本語資料としてのキリシタン写本・書簡類の研究
Project/Area Number |
17720102
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Japanese linguistics
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
川口 敦子 Nagasaki University, 教育学部, 准教授 (40380810)
|
Project Period (FY) |
2005 – 2007
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
|
Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2007: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2006: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2005: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
|
Keywords | キリシタン / 国語学 / 中世日本語 / ローマ字表記 / 写本 / 国際情報交換 / ポルトガル:イタリア / 日本語 / 中世 |
Research Abstract |
前年度にイエズス会ローマ文書館(ローマ、イタリア)で調査収集した資料のうち、日本巡察師ジェロニモ・ロドリゲス宛の書簡2点(Jap.Sin.34,180r-181v,188r-189v)のローマ字書き日本語の本文を翻刻・翻字し、考察した。発信年は不明であるが、発信者とその内容から、1621年頃に書かれたものであると推定した。全体的にキリシタン版の規範にほぼ則った表記であるが、188r-189vの書簡では、版本では二重母音イイを示す表記ijをジの表記とする、特異な表記が見られる。この研究成果は「国語と教育」(長崎大学)第32号に発表した。 2007年9月にはポルトガルのアジュダ図書館、リスボン国立図書館、リスボン科学アカデミー図書館(以上リスボン)、エヴォラ公共図書館(エヴォラ)、マヌエル2世図書館(ヴィラ・ヴィソーザ)において、キリシタン関係の写本・書簡類およびキリシタン版を閲覧・調査し、資料の保存状態についての意見交換、先方の書誌情報の修正等の学術的交流を行った。このうち特に重要と思われる資料10点の複写を収集した。ポリトガルでの調査では、ローマ字書き日本語文の文書を探し出すことは困難で、このことからも、イエズス会ローマ文書館に所蔵されているローマ字書き日本語文の書簡は希少なものであり、資料的価値が高いと言える。 平成17年度からの研究成果を総合してみると、キリシタンの写本・書簡類におけるローマ字書き日本語の表記は概ね版本の規範に準しており、活用語尾のcuとquの書き分けも守られている。その一方で版本には見られない特異な表記も散見し、年代による傾向も認められるが、個人の癖に拠るものもあるかと思われる。反復記号「.y.」のようなポルトガル語の古文書でも見かけない表記もあり、これらの特異な表記が何に由来し、日本のキリシタン社会でどのような広がりを見せていたのか、今後追究すべき課題である。
|
Report
(3 results)
Research Products
(3 results)