Project/Area Number |
17730001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Fundamental law
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
会澤 恒 北海道大学, 大学院法学研究科, 助教授 (70322782)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2006: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 懲罰的賠償 / 実体的デュープロセス / 手続的デュープロセス / 裁判所の裁量 / 証拠の関連性 / 抑止 / 損害填補 / 制裁 / 法と経済学 / 強制的クラスアクション |
Research Abstract |
本研究は、2003年のState Farm Mutual Automobile Ins.Co.v.Campbell連邦最高裁判決(538 U.S.408)が、米国における懲罰的賠償制度を限定的な方向で変質させつつあるとの理解の下に研究を開始した。そして、同判決を受けた下級裁判所における制限的な運用が観察される一方で、Campbell判決及びその直接の先例であるBMW v.Gore判決(517 U.S.559(1996))の理由付けの錯綜は解決されていないということも確認された。他方で、当事者の代理人弁護士も裁判所の制限的な運用を意識した訴訟行動を取る傾向が見られた。 最高裁は2007年2月のPhilip Morris USA v.Williams判決(127 S.Ct.1057)において、懲罰的賠償にさらなる限定を加える判断を下した。同事件では、タバコ会社の虚偽広告によって安全と信じて喫煙を続け死亡した者の妻が起こした訴訟において、オレゴン州裁判所が填補賠償82万ドル強に加え、その100倍近い7950万ドルの懲罰的賠償を被告に命じたことから、被告タバコ会社が連邦最高裁へ上告していた。法廷意見は当該懲罰的賠償が原告以外の者に関する懲罰的要素を含んでいると考えられるとして差し戻した。ここでは、「私人による法実現」という考え方からの大きな方向転換が見られる。私人が「私的法務総裁」として社会全体の利益を志向して民事訴訟の原告となる、という政策実現のための懲罰的賠償の利用について、制約を越えて否定と言える判示を行っており、制限的な方向での懲罰的賠償の変質という予測が確認されたと言える。懲罰的賠償制度の終焉と言ってよい。 以上の成果は会沢恒「懲罰的賠償の終焉!?--Gore・Campbell・Williams、またはBMW・State Farm・Phillip Morris」として北大法学論集に公表予定である。
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