Project/Area Number |
17730070
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Civil law
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
榊 素寛 神戸大学, 法学研究科, 助教授 (80313055)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 保険法 / モラル・リスク / モラル・ハザード / モラール・ハザード / 故殺免責 / 自殺免責 / 保険事故招致免責 / 偶然性 / 立証責任 / 故意免責 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度得た問題意識をさらに深化させ、保険契約の関係者が保険事故を招致した場合に保険者が免責される法的な根拠を考察した。昨年度の研究実績が裁判上の立証責任の問題を主要論点とするものであるのに対し、本年度の研究はより基礎的・根本的な問題を扱ったものである。従来から保険事故誘致免責の法的根拠は断片的に研究が深められてきたが、本研究は各関係者の故意免責の根拠を具体的・分析的・横断的に検討した点で従来の研究との顕著な違いを有する。 本年度の公刊業績における研究成果のうち、顕著な特色を有するのは次の三点である。 第一に、保険契約の受益者(生命保険の保険金受取人・損害保険の被保険者)による故意の事故招致を免責とする根拠として信議則違反を挙げるべきか否かという議論について、これらの者が契約締結段階で契約締結に関与することが法的に担保されていないことから否定されるべきであり、信義則として議論されてきたものの実質としてはむしろ類型的な権利濫用という法律構成を採用すべきことを論じた点。 第二に、生命保険の保険契約者による故殺免責の根拠として公益を考慮するか否かという議論についてはこれを考慮すべきであること、その具体的内容は犯罪行為により保険金受取人に保険金を与えるという契約目的を達成することを防止する必要性を意味すること(対価関係を正面から読み込み、犯罪行為を犯した者がこれを機縁として利得することを防止する必要性という保険金受取人による故殺免責の文脈と同様の反社会性を認める)、同様の趣旨は少なくとも損害保険の保険契約者による放火については妥当することを論じた点。 第三に、重過失免責の根拠としては、故意免責の根拠に加えて事前の行為規範としての位置づけを与えるべきこと、具体的には保険事故発生前の時点において保険契約の存在による行為水準の低下を防ぐモラール・ハザードの抑止という観点を示した点。
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