Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,病初期のAlzheimer病(AD)患者に効果的な心理リハビリテーションプログラム(PRP)を開発し、その短期的および長期的効果を検討することである。特に,本研究では,ADの中核症状である認知障害に焦点を当てた認知リハビリテーション(認知リハ)の検討を行なった。その結果,以下の結果を得た。 初期ADに効果的なPRP開発のために,認知機能検査の成績を分析し,患者の保持されている機能と障害されている機能の特徴を調べ,どのようなプログラムが有効かを検討した。その結果,CDRO.5と判定された初期AD群は,CDROと判定された統制群に比して,自由再生と手かがり再生の通過率は有意に低いものの,再認条件での通過率に有意差はなかった。構成課題では課題開始30秒後の通過率に有意差はあったが,60秒後の通過率に有意差はなかった。これらの結果から,再生条件よりも再認条件の方が想起率は向上し,また,十分な時間が与えられると課題成功率が向上する可能性が示唆された。これらの特徴を加味した認知リハが効果的なPRPの1つになりうる可能性が示唆された。 認知リハの短期的・長期的効果を検討するために,MMSEの成績変化を検討した。MMSEは年間4ポイント変化するとclinical relevanceといわれているが,今回,認知リハと抗認知症薬を併用した患者のうち,年4点以上の成績低下を示した人は1人もいなかったが,抗認知症薬による治療のみを受けた群では約2割が4点以上の成績低下を示した。長期経過の分析から,認知機能の変化に応じた認知リハを病初期から実施することで,患者の自信や意欲の回復,病状理解の促進,さらにはQOLの維持・向上といった心理社会的な効果が認められた。 これらの結果から,病初期のADに対するPRPは,ADの予後改善に有効な治療法の1つになりうる可能性が示唆された。
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