Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2007: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2006: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2005: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本年度はCantor極小力学系上に定義されるエントロピー関数に関する研究を行った。Cantor集合上に極小に作用する同相写像をCantor極小力学系と呼ぶ。力学系上に不変確率測度があると、それに依存して測度論的エントロピーが定義される。エントロピー関数とは不変確率測度全体(Choquet単体と呼ばれるある種のコンパクト凸距離空間)上で定義された非負値関数で、与えられた不変確率測度に対する測度論的エントロピーの値をとる。 このエントロピー関数はある二つの性質(それを簡単にA,Bと記す)を満たすが、逆に勝手にChoquet単体とその上で定義される関数で性質A,Bを満たすものを与えたとき、それが力学系のエントロピー関数として表せるかという問題ができる。この問題はDonwnarowicz-Serafinによって肯定的に解決された。 筆者がこれまで研究していたCantor極小力学系に対する強軌道同型の概念は、不変確率測度全体の構造を保つことが知られている。より詳しく説明すると、二つのCantor極小力学系(X,S)と(Y,T)が強軌道同型ならば、それらの不変確率測度全体(Choquet単体)をM(X,S)、M(Y,T)と表すとすると、強軌道同型写像によって、M(X,S)とM(Y,T)はaffine 同相になる。従ってCantor極小力学系の強軌道同型類を一つ固定するとChoquet単体がaffine同相の元で一意に決まる。 そこで上に記したDonwnarowicz-Serafinの結果をCantor極小力学系の強軌道同型内で行えないかという問題が考えられる。具体的には次のようになる。「Cantor極小力学系の強軌道同型類を一つ固定する。するとChoquet単体Ωが一意に決まる。Ω上に非負値関数hで性質A,Bを満たすものを任意に固定したとき、強軌道同型内のCantor極小力学系でhをエントロピー関数として実現するものがあるかどうか。」19年度はこの問題を考えていたが、解決には至らなかった。しかし問題解決の糸口が見えつつあり、次年度には解決できると思っている。
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