彗星氷の重水素/水素比およびオルソ/パラ比から探る太陽系形成初期の温度環境
Project/Area Number |
17740119
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Astronomy
|
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
河北 秀世 京都産業大学, 理学部, 助教授 (70356129)
|
Project Period (FY) |
2005 – 2006
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
|
Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
|
Keywords | 彗星 / 太陽系 / 原始太陽系星雲 / 重水素 / 水素比 / 原子核スピン異性体 / Deep Impact |
Research Abstract |
彗星に含まれる揮発性の氷物質は、太陽系が分子雲から原始太陽形星雲を経て誕生するまでの物質の化学進化の名残である。彗星は、太陽系形成時期(約46億年前)からほとんど変性を受けることなく太陽系外縁部に存在してきた為、現在、彗星氷が昇華して形成されるコマ(大気)の組成比から、46億年前に存在した氷物質の組成を知ることができる。 本研究では彗星氷に含まれる重水素体の観測から、特定分子における重水素/水素比(D/H比)を決定し、太陽系外縁部に存在した氷物質の形成過程を明らかにすることを目的とした。本研究では特にメタン分子のD/H比に着目した。メタン(CH_4)の振動励起輝線は近赤外線の3ミクロン付近にある。重水素化メタン(CH_3D)の輝線もほぼ同様の波長にあることが分かっているので、それらの観測を通じて、メタンにおけるD/H比が決定できる。本研究ではマックホルツ彗星(C/2004 Q2)の観測を行い、CH_3Dと考えられる輝線の検出に成功した。しかし、検出は最も強いと予想される1本の輝線だけであり、十分な確証は得られていない。しかし、この輝線がCH_3Dであるとすると、メタン分子のD/H比は0.007と得られており、温度30K以上の気相化学反応の結果であることが示唆される。これはH_2OやHCNのD/H比とも整合的である。 本研究では彗星氷中の分子における原子核スピン異性体の存在比についても研究した。原子核スピン異性体存在比は分子形成環境の温度に依存すると考えられる。本研究では水およびアンモニアならびにメタンの原子核スピン異性体存在比を一つの彗星で同時に測定することに成功し、それらが全て約30Kの温度を示すことを明らかにした。この結果は、これら分子の原子核スピン異性体比が熱平衡状態で決定されており、温度の良い指標になることを示唆している。
|
Report
(2 results)
Research Products
(12 results)