Project/Area Number |
17740228
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Condensed matter physics II
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
櫻井 敬博 神戸大学, 研究基盤センター, 助手 (60379477)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 超伝導 / 電荷秩序 / ESR / 短距離秩序 / 低次元磁性体 / 高圧 / 強磁場 |
Research Abstract |
Na_xCoO_2はCo^<3+>(S=0)とCo^<4+>(S=1/2)の割合xやNaレイヤーへのH_2Oの挿入によって、超伝導相を含む多彩な相変化を生ずる物質である。特にx〜0.5においてのみ特異的に現れる電荷秩序相を解明することが本系の電子相関を理解する上で重要である。本研究は圧力下強磁場ESR等を用いてNa_<0.5>CoO_2の電荷秩序状態を解明することを目的とする。まず圧力下強磁場ESR測定においては外径8φ内径3φのNiCrAl合金製圧カセルの開発により発生圧力が1.1GPaにまで到達し、またESR専用の圧力校正方法を確立した。しかし試料の信号が非常に微弱でありまた圧力セル内では試料量に制限がある等の理由により、試料量を増すための内径4φの圧カセルの試作、光源から試料までの光軸調整絵具等の作製とそれによる細心の光輪調整等の試みにもかかわらず圧力下における本系のESR測定には成功しなかった。一方常圧下X-bandESR測定においては、Co^<4+>に起因する共鳴吸収の観測に成功しパウダーパターン解析等を行って以下のことを明らかにした。室温から反強磁性転移温度T_<c1>=87Kに向かう吸収線幅の増大を観測し、ミクロな観点から転移の存在を明らかにした。更に吸収波形が室温から温度の低下に伴ってほぼ対称な波形から非対称なものへと大きく変化する様子を観測した。これはCo^<4+>を囲む酸素イオンによる三方対称揚の対称軸に平行なg_<||>(垂直なg_<⊥>)が温度の低下に伴って大きく減少(増大)することに起因する。電荷秩序状態においてはS=1/2のCo^<4+>鎖とスピンのないCo^<3+>鎖が平行に並ぶ状態が提案されている。温度低下に伴う大きなgシフトは反強磁性転移に向かう低次元磁性体に特徴的な短距離秩序の発達に伴うものであると考えられ、S=1/2の一次元鎖が存在するという電荷秩序状態を強く示唆する結果を得た。
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