Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
高分子の流動結晶化過程を,小角中性子散乱・小角X線散乱・光散乱,顕微鏡などを用いて観測した.まず,高分子量成分に軽水素化ポリエチレンを,低分子量マトリックスとして重水素化ポリエチレンを用いたブレンドサンプルの小角中性子散乱のその場測定を行った.せん断方向に積み重なったラメラ晶であるケバブ構造が成長する前に,せん断方向に比較的よく配列したミクロンオーダーの構造が形成していることをその場測定ではじめて示した.観測されたミクロンオーダーの構造は,主に分子量の大きい超高分子量成分からなっていることを示すことができた.超高分子量成分はせん断によって応力がかかるため,高分子鎖が引き伸ばされ,ミクロンオーダーの構造が形成するものと考えられる,このことは,光散乱測定によって,配向結晶構造であるシシケバブ構造が生成するよりも先にミクロンオーダーの配向構造が観測された結果と一致している.さらに,光散乱や小角X線散乱・光学顕微鏡を用いて流動場にて観測される構造について詳細に調べ,中性子散乱測定によって得られた結果と比較した.まず,融点より十分高い温度でせん断を印加するという条件では,結晶構造は観測されずに,ミクロンオーダーの液晶的な構造が観測された.また,超高分子量成分の濃度と結晶化温度を変化させた際の構造形成過程を小角X線散乱測定で調べ,せん断によって引き伸ばされた超高分子量成分の結晶化速度と緩和速度に依存していることを示した.超高分子量成分の濃度が高い場合は,結晶化温度が高くても,結晶化速度に比べて緩和速度は遅く,シシケバブ構造が形成する.しかし,超高分子量成分の濃度が低く,結晶化温度も高い場合,緩和速度のほうが結晶化速度よりも大きくなるため,等方的な成長のみが観測された.
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