Budget Amount *help |
¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 2006: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2005: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,X線回折援用引張試験法によりマイクロマシン実装に用いられるAu-Sn共晶はんだ薄膜材料の力学特性評価を行うことである.当申請研究の初年度である平成17年度には,単軸引張試験装置の改良と三源マグネトロンスパッタリング装置の設計・開発を実施した.最終年度となる平成18年度には,主に下記に示す2つの研究を並行して1実施した. (1)単軸引張試験によるAu-Sn薄膜の引張特性評価 (2)新規薄膜勇断試験技術の開発とAu-Sn薄膜の剪断特性評価 (1)の研究では,スパッタリングにより成膜したAu-20wt%Sn薄膜の単軸引張試験を行い,ヤング率,ボアソン比,降伏応力等の定量評価を行った.Au-Sn薄膜の引張応カー歪み関係は室温で脆性的であり,373Kまでの温度上昇に伴って降伏現象を示した.ヤング率および降伏応力は温度・引張歪み速度依存性を示し,温度の上昇および引張歪み速度の低下に伴って減少した.室温におけるヤング率は平均で53GPaであり,バルク材よりも22%程度低い値であった.また,Au-Sn薄膜の面外ボアソン比の平均値は室温で0.28であり,バルク材よりも30%低かった.本研究では,準静的引張試験に加えて引張クリープ試験を行い,クリープ変形挙動の定式化を試みた.Au-Sn薄膜は,遷移〜定常〜加速クリープを経て破断に至る典型的なクリープ変形挙動を示した.バルク材と比較して薄膜のクリープ強度は大きく低下しており,これは結晶粒形状の違いに起因するものと推察できる.定式化により遷移〜定常クリープ変形挙動を高精度に表現でき,得られたデータはクリープ変形を考慮したデバイス設計に有効であると考えられる. (2)の研究では,ミクロン厚はんだ薄膜材料のための新規引張・せん断試験技術を新開発した.この試験片は,自由端にAu-Snはんだ薄膜を成膜した2つの単結晶Siカンチレバーを重ね合わせた構造であり,Siカンチレバーに引張負荷を加えるとAu-Sn薄膜に勇断変形させることができる.本技術により得られたAu-Sn接合のせん断強度は12〜17MPa,せん断定数は11.5〜13.3GPaであり,等方弾性理論より導出した理論せん断定数よりも38%低く,試験片形状に起因するものと推察した.
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