Budget Amount *help |
¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
平成19年度は,平成18年度と平成17年度の結果を踏まえて,底泥内部での生物過程をモデル化し,溶存酸素の収支と窒素の変換過程,および微生物の増殖を予測するためのモデルを構築した.底泥直上の水柱から底泥表面へと移動するDOのフラックス(SOD:Sedimentary Oxygen Demand)推定に際しては,従来,申請者らが検討を行い,構築した境界層モデルを用いる.他方,底泥内部での物質移動に関しては,平成17年度に底質が細砂,あるいは粗砂の場合を想定して,底泥表面の乱れの底泥内部への伝達とそれによる物質移動への影響をコンピュータシミュレーションを行い,調べた.平成18年度は,底質が有機泥(ヘドロ)の場合を想定して,底泥直上の乱れの底泥内部への伝達とそれによる物質移動,生物過程への影響に関して,コンピュータシミュレーションによる検討を行った.平成19年度は,有機泥,粘土,シルト,細砂,および粗砂と幅広い底質条件での,底質内部での物質移動と微生物の代謝に伴う物質変換過程について検討を行った.とりわけ,底質直上の乱れの底質内部への浸透と伝達,およびそれによる物質移動への影響を調べた結果,底質が有機泥,粘土,および砂に係わらす周期の短い(高周波)成分ほど,底泥内部で急速に減衰することを明らかにした.次に,底泥の粘度の影響について,底質が細砂,粗砂の場合には,粘度が大きいほど乱れは底泥内部で急速に減衰する.一方,底泥が有機泥の場合,粘度か大きいほど乱れは底泥内部で減衰しにくく,より深部へと伝達されることを明らかにした. 底泥内部での生物過程に関して,従属栄養細菌による好気性状態での有機物質の酸化とそれに伴う溶存酸素消費過程,および窒素の変換過程に着目して,モデルを構成し,前述の境界層モデル,および底質内部での物質移動に及ぼす底質直上の乱れの解析結果と対応させて,湖沼や貯水池の水・底泥境界面近傍での溶存酸素収支を予測するためのモデルを構築した.本モデルにより推定された水・底泥境界面近傍での溶存酸素濃度分布と微小酸素電極による実測値とを比較したところ,モデルによる推定値は実験結果を良好に再現した.
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