Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
(目的)Toll like receptor(TLR)は病原微生物を認識してサイトカイン産生などの免疫応答により生体を病原微生物から護る監視を行っている。しかしTLRからの過剰なシグナルはサイトカイン過剰産生などにより組織障害をもたらす可能性がある。GVHDによる腸管障害によるTLRの関与を明らかにするため、腸管におけるTLRの発現やTLR4欠損マウスによるGVHDを用いて解析した。(方法)9Gy照射ホストマウスにドナー骨髄細胞と脾細胞を移入しGVHDを誘導した。GVHDは生存率、病理組織学的解析、組織におけるサイトカイン遺伝子の発現にて解析した。腸管におけるTLRの発現は免疫染色およびフローサイトメトリーを用いて解析した。(結果)1)GVHD誘導により腸管のTLR4の発現が増強した。2)CD11c+樹状細胞のTLR4の発現はLPS刺激により増強された。また、FK506により減弱し、FTYやHGFにより増強した。3)TLR4欠損マウスをホストとしてGVHDを誘導するとコントロールGVHDマウスに比べ腸管GVHDが重篤で死亡率が高かった。4)TLR4欠損マウスをドナーとしてGVHDを誘導するとコントロールGVHDマウスに比べ死亡率が低下した。(考察)造血幹細胞移植においてホストTLR4は腸管GVHDの制御に、ドナーTLR4はGVHD誘導に重要な働きをしていることが明らかになった。また、HGFやFTYはホストの腸管の樹状細胞のTLR4の発現を増強しGVHDを制御できる可能性が示唆された