地中海文化の古代女神信仰と聖母マリア信仰からスペイン映画の女性表象を読み解く
Project/Area Number |
17H00012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
外国語・外国文学
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
矢田 陽子 早稲田大学, 文学学術院, 非常勤講師
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Project Period (FY) |
2017
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2017)
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Budget Amount *help |
¥390,000 (Direct Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2017: ¥390,000 (Direct Cost: ¥390,000)
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Keywords | 台詞表象分析 / 聖母マリア信仰 / 地中海文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、スペインのペドロ・アルモドバル作品に描かれる女性表象のなかでも、(1)現代スペイン社会に生きるスペイン女性のジェンダー概念や精神性を表象していると思われるものを取り上げ、それらが古代地中海地域の女神信仰やスペインの聖母マリア信仰の要素と如何に符合しているのかを分析・考察し、(2)地域研究やジェンダー研究における娯楽映画をコーパスとした表象分析の学術的有益性を示す事を目指した。 この研究の結果は、以下の2つの学会、第63回日本イスパニア学会(2017年10月7日、8日、神奈川大学横浜キャンパス)における発表「地中海古代神話と聖母マリア崇拝からアルモドバル映画の女性表象を読み解く」、2017年度早稲田大学文学学術院多元文化学会秋期大会(2017年11月25日、早稲田大学戸山キャンパス)での「ペドロ・アルモドバル作品の女性表象とスペイン・地中海性」として発表し、且つ、早稲田大学文学学術院多元文化学会学術論文「スペイン・地中海文化の女性表象としてのアルモドバル映画」として研究成果を示した。尚、この論文が記載される『多元文化第7号』は2018年2月28日刊行である。 本研究で明らかになったのは、以下の3点である。(1)アルモドバル作品の構造が古代地中海に存在した女権社会を示す神話の構造と符合する、(2)作品中の女性表象が示す精神性は古代に遡り分析することで再確認が可能であること、(3)精神的苦痛や苦難を乗り越えることを享受しようとする表象は聖母マリア信仰の要素と符合することから、これらを娯楽作品の表象と捉えるのではなく、スペイン社会に生きる女性表象として捉えるべきである。また本研究では、第二研究としてアルモドバル監督の最新作「Julieta」とその原作であるカナダのノーベル賞作家アリス・マンローの短編小説のアダプテーションとスペインの宗教性と精神性について論じる予定であったが、現在進行形であり完了していない。この研究は英語圏とスペイン語圏の比較文化、比較表象研究でもある為、更に時間を持ち2018年度の研究として研究結果を発表する予定である。本研究が2018年以降の研究に資すると確信している。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)