1 研究目的 ○ KBDeXで示される指標データを用いて、算数授業の分析手法を確立すること ○ 学習者個々の発言に含まれる語の共起関係やつながりから知識構成の進捗を明らかにすること 2 研究方法 ○ 算数の授業をビデオ撮影を行い、学習者及び指導者の発話をデータ化し、KBDeX(Knowledge Building Discourse Explorerの略で、対話データから共同体の知識の進展と個人の貢献を可視化、数量化することができるソフトウェアである。)を用いて発話分析を行う。 3 研究内容 ○ 先行研究をもとに、発話分析手法及び自身の課題の整理・検討を行う。 ○ 授業実践をもとにKBDeXが分析対象とする望ましい算数の学習形態の在り方を検討する。 ○ KBDeXを用いた発話分析による思考過程の解読と分析手法を確立する。 4 研究成果 ○ 思考過程の解読について 次数中心性係数の2箇所の上昇から、その原因となる発言や学習者を特定することができた。このことは、算数の授業を構想する上で、ねらいに基づくポイントなるキーワードや発問を構想する上で有効であると考える。 一方、学習中の小グループにおける話合いは記録されておらず、17名のうち5名の発言は分析の対象になっていない。発言した学習者と指導者の関わりは部分的に明らかになったが、一斉指導を分析の対象とする場合、発言者以外の認知についての把握する手法を開発する必要がある。 ○ 分析手法の確立について 今回は①発話分析に用いる語句を選定②分析対象場面を選定③分析対象学習者を選定の手順で分析し、対話の特徴や特徴的な学習者の貢献度を分析することができた。 一斉指導形態の学習について分析を行ったが、KBDeXが分析対象とする望ましい算数の学習形態の在り方についても検討が必要である。また、同じ意味の言葉を使っていても、別の表現も存在するため、学習者や指導者の発話の意味を数学的な思考の観点から十分考慮して対話データとして入力する必要がある。
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