Outline of Annual Research Achievements |
人口減少に伴い, 北海道だけではなく, 全国的に学校の小規模校化が進んでいる。へき地・小規模小学校での学校運営・校内研修・学級経営に関して, 短期および長期のいずれの視点からも実践的な研究が求められている。 本研究は, へき地・小規模小学校の複式学級担任の職務上の課題解決というこれまで注目されてこなかった研究テーマであり, 学年打ち合わせにICTを活用するという新たな取り組みである。複式学級の担任の職務上の課題解決を図ること, へき地・複式小学校の児童特有の教育上の課題(多様な意見に触れたり, 切磋琢磨したりする機会が比較的少ない等)を解決することを目指し, iPadなどの汎用性の高いタブレット端末を活用し, Facetimeなどのビデオ通話機能を活用した学年打ち合わせを行い, 学校を超えて協働的に学級経営に取り組んだ。 申請者を含む, 異なる小学校に勤務する同学年の複式学級担任同士が, ①タブレット端末を活用して, 不定期に「疑似学年打ち合わせ」を行い, 教材研究を行ったり, 学級経営上の悩みを相談し合ったりした。②また, クラウドサービスやメールサービスを利用して, 教材・教具・指導計画・掲示物・ワークシート・宿題プリント等を学級担任同士で共有し、重複する業務について役割分担・負担軽減を図ることができた。 学年打ち合わせのなかで教材研究に着目したのは, 研究代表者が単学級小学校の学級担任を対象にすでに実施・報告した悉皆調査の結果から, 「教材研究(学習計画の作成, ワークシートや掲示物など教材の作成)」「学習の進度の確認」について負担感を感じている教員が7割にのぼったからである。また, 複式学級の場合は, 一つの教科につき2学年分の授業準備をする必要があり, 単式学級に比べて2倍以上の時間を要する。この点を踏まえ, 授業づくりに特化して, 校内の他学年の同僚よりも, 他校の同学年の担任同士で, 特別な設備を使わずにできるタブレット端末を通して相談・共有し合うことで負担軽減を図った。一方で, 交流する回数や時間を定期的に確保することが難しいという課題も明らかになり, 継続的な取り組みのためにどのような方策が必要か今後検討していく必要がある。
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