Outline of Annual Research Achievements |
本研究では, 小学4年生から6年生の子どもに対してピア・メディエーションの導入を行い、子どもたちの日頃の友人とのかかわりで生まれる対立問題の際、どのような方法を用いて解決されるかを観察することを目的とした。また、その中でも子どもの修復的対話による対立問題への介入がみられた場合には、どのような会話のもとで介入されたかを質的に検討することとした。これらの目的を達成するために, 本研究ではおおむね以下のような手続きをとった。1)アメリカの学校視察と学会での研究者との交流, 2)研究会の開催による実践と研究の交流, 3)授業プログラムの実践, 5)観察データの収集と評価, 6)実践プログラムの改善と研究成果の報告。 ピア・メディエーションの授業プログラムによって、友人との関わりにおいて説明や説得をする姿が見られる機会が増えた。その要因として、対話による修復をロールプレイによって経験することにより、話し合いという子どもにはやや抵抗を感じる方法に対して、ピア・メディエーションを通してスキルを習得し、抵抗感が減少していったのではないだろうかと推察している。実施前の子どもたちの生活場面では、対立が生じると暴力を振るったり、ののしったり、高学年女子の場合は無視をし合うなど非対話的対応が多く見られた。だが、授業を終えた子どもたちの様子を見ると、積極的に相手に対して行動の理由を聞いたり、気持ちを聞いたりするなど積極的に対話しようとする姿勢が見られ、対話を通した交流を行おうとする様子が見られた。5年生、6年生では低学年のいざこざ場面に介入することが、見られるようになった。以上より、ピア・メディエーションに学校全体で取り組むことで、学校における異学年ピア・サポートが促進されることが明らかとなった。
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