Outline of Annual Research Achievements |
本研究は, 研究分野に応じた研究機関の研究力および研究業績の評価指標の確立を目的として実施した。具体的には, 主に人文社会科学系の研究分野(現在の科研費の「中区分」に相当する研究分野とする)における(1)研究力や研究業績と認められるエビデンスを明らかにすること, (2)それらのエビデンスの客観的な指標化をおこなうこと, の2点を目的とした。 まず, 予備的な調査として, イギリスの研究評価制度であるResearch Excellence Frameworkに関する情報収集をおこなうと共に, オランダの評価基準および評価方法であるStandard Education Protocol(SEP)についても先行研究を含めた情報収集をおこなった。その結果, 双方とも, 論文などの客観的に数値化された情報に加え, 政策提言, 社会におけるインパクトなど, 数値化が困難な指標も含まれていることを確認した。しかしながら, 特に数値化が困難な指標をどのように客観的な評価に利用しているかについては明らかにできなかった。 そこで, 調査研究事業があり, 研究者が所属しつつ, 標本資料の収集・保管および展示・学習支援事業において社会に対する貢献が必要とされている国立科学博物館の広報担当課長に対し, 博物館の評価において社会への貢献をどのように扱うかを聞き取り調査した。その結果は, 博物館の入館者数, 特別展・企画展の数, 学習支援事業参加者数など, 数値化可能なものでの前年度(あるいは前中期目標期間)との比較であった。 次に, オランダの人文社会科学系の総合大学であるティルブルフ大学の評価およびSEP担当者への聞き取り調査をおこなう予定であったが, 都合上, この計画は実施できなかった。そのため, 研究計画を十分に遂行することができなかった。 なお, 本研究の結果については, 琉球大学研究集会「日本版研究IRの発展を目指して一統計科学に基づく異分野融合指標を例に-」のパネルディスカッションにおいて一部発表したほか, 学会発表および雑誌投稿の準備中である。
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