Outline of Annual Research Achievements |
○研究目的 本研究では, データ駆動型学習(DDL)で使用するコーパスをタブレット端末等から自由に検索できるようにし, DDLの効果を引き続き検証して, その分析結果を公表する。 ○研究方法 1人1台タブレット端末を活用し, DDL活用を支援するためのツールとして, 新たに教育用例文コーパスSCoRE(The Sentence Corpus of Remedial English)を授業に取り入れた。SCoREとは, Web上で自由に閲覧・検索・コピー・ダウンロードすることができる「データ駆動型英語学習支援プログラム」であり, 利用者登録などの必要がなく, いつでも無料でアクセスしてクリックするだけで利用できるシンプルな教育用検索ツールである。 本研究では, 自作のICT教材を活用して授業実践を行い, ①タブレット端末を活用するデジタル版DDLは中学生の英語力向上に寄与するか, ②タブレット端末を活用するデジタル版DDLは従来のペーパー版DDLと比べてその指導効果に差が見られるか, ③タブレット端末を活用するデジタル版DDLに協働学習を組み合わせることによって, 生徒たちの学びの深まりに変容が見られるか, の3点を中心に研究を行った。 ○研究成果 本研究では, SCoREを活用するデジタル版DDLの効果を検証した。その結果, デジタル版DDLの活用は英文法の知識の定着に効果があり, さらに用例の観察を通して文法規則発見の眼を育てることから, 文法指導のひとつの手法として有効であることが明らかになった。また, 教師が発見学習のタスクを与えなくても, 生徒自身の力で数多くの文法規則を発見することができたことから, SCoREは自学教材としても有用であることがわかった。処置群のデジタル版と, 対照群のペーパー版には, どちらもそれぞれに長所と短所があり, 生徒の発見に同等の結果が得られるのであれば, 学習環境や生徒の実態等に応じてどちらかを選んだり, 組み合わせたりして実践すればよいことがわかった。
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