Outline of Annual Research Achievements |
本研究は, クリティカル・シンキング(創造的思考)を高める道徳授業モデル(「CT授業モデル」とする)を作成し, 児童の問題解決力を高める指導法の開発を目的とした。 まず, CT授業モデルを作成した。1時間の授業を4段階に分け, 「①問題把握-②問題要因の洗い出し-③解決の決定-④解決の方策検討」の指導過程を提案した。また, 第2, 3段階では, 「考える(書く)活動としての思考ツール」, 第4段階では, 「話合い・議論する活動としての思考ツール」を取り入れた。 効果の検証に当たっては, 小学校高学年で実験群(CT授業モデル群)と統制群(読み物資料群)をおき, 両者の比較検討を行った。検証材料としては, ①クリティカル・シンキング(CT)測定調査, ②授業印象調査, ③自由記述による作文シートを用い, 一要因参加者間の分散分析を行った。CT測定調査と授業印象調査に作成に当たっては, 研究者3名で行い, 内容の検討を行った。CT測定調査は, 「問題発見・掌握力」「問題解決力」「俯瞰的判断力」「他者比較力」「価値汎用力」の5項目, 授業印象調査は, 「集中度」「興味・関心度」「参加度」「理解度」「満足度」の5項目からなり, 4件法で行った。 各群4時間授業を実施した後, 効果の検討を行った結果, クリティカル・シンキング測定調査では, 実験群において「問題解決力」「俯瞰的判断力」「他者比較力」が有意に高まった。また, 授業印象調査では, 「集中度」「興味・関心度」「満足度」において有意が確認された。このような結果から, CT授業モデルでは, 創造的思考を高め, 授業への主体的・意欲的参加を促すことが明らかにされ, 道徳的な問題解決力が高まることが判明した。 研究の結果は, 日本道徳教育学会及び新潟道徳実践研究会に一部を発表した。また, 同学会への論文を投稿する予定である。
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