Outline of Annual Research Achievements |
1 研究目的 PISAショック以降, 学校教育で獲得した知識・技能の活用力が問われている。未知なる社会問題を解決し持続可能な社会を実現していく上で, 子どもの資質・能力を高めるカリキュラムや授業改善が求められ, そのキーワードとしてALが注目されている。そこで本研究では, 子どもが主体的・協働的(対話的)で深い学びを実現するためのアクティブラーニング(以下, AL)を可能とする小学校社会科授業づくりの手だてを明らかにし, 学習指導過程モデルを構築することを目的とした。 2 研究方法 本研究では, 前述した目的を達成するために, 以下の手順で行った。 第1に, 知識構成型ジグソー法の特徴を基に, ALの学習方法として社会科で取り上げた場合のよさや課題を検討し, 小学校社会科の先行研究を踏まえ, 知識構成型や概念探究型授業の追試を行った。 第2に, 社会科教育研究の理論と知識構成型ジグソー法の比較を行い, 学習方法の共通点・相違点を検討し, 児童の主体的・協働的(対話的)で深い学びを実現するための社会の見方・考え方を規定した。また, デザイン研究の知見からALが可能な学習指導過程モデルを探り, 授業デザインの視点を構築した。 第3に, 構築した授業デザインの具体となる授業を開発・実践し, 取り上げる教育内容や学習段階との親和性, 本研究の有効性を授業記録や児童の記述などから分析・検討し, その成果を学会等で発表した。 3 研究成果 構築した授業デザインを基に授業開発・実践を行い, 授業記録やルーブリック評価で分析した。その結果, 本研究で開発した授業デザインは子どもの問題解決的な学びの意欲を高め, 主体的・対話的な問題追究を育むとともに, 獲得した社会の見方・考え方によって社会問題の検討や自らの生活を見つめ直すなど, 児童の学びを深め豊かなものにすることができた。また, 授業デザインを用いた授業開発・改善は, 次期学習指導要領の「主体的・対話的で深い学び」を実現するための有効な方途となる点を明らかにした。
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