<本研究の目的> 本研究は、次期学習指導要領で目指している主体的、対話的で深い学びを小学校音楽科の授業で実現させるため、タブレット端末を学習ツールとして効果的に活用する指導法を開発することを目的とした。 <研究の方法> 表現領域の各分野、及び鑑賞領域において、タブレット端末を活用した授業を計画、実施し、活用場面や方法の検討や効果の検証を行った。①表現(歌唱)…自らの歌唱の様子を記録し、歌い方の工夫に活かす際の活用[第5学年]②表現(器楽)及び鑑賞…箏の演奏を聴いたり、楽器の構造を理解して簡単な曲を演奏したりして、箏の豊かな響きを味わう際の活用[第6学年]③表現(音楽づくり)…拍の流れにのったリズムづくりをする際の活用[第3学年] <研究の成果> 実施した検証授業では、すべての授業において、児童の学習への主体性の高まりや意欲の向上が見られた。また、グループ活動では、個々が課題解決のために積極的に発言し、対話的な学びが促進されている様子が伺えた。①の活動では、録音、録画機能を使って自分達の演奏を記録したり、聴きたい(見たい)部分を即座に再生し、効率よく演奏の振り返りができたりするなど、タブレット端末の基本機能を音楽の主体的な学習活動に活かす利便性を感じることができた。②の活動では、動画や音声を挿入できる自作教科書アプリを用いて楽器の歴史や構造を理解したり、箏の疑似演奏ができるアプリを使用して簡単な曲を演奏したりすることで、児童が普段触れることの少ない和楽器を、児童により身近に感じさせることができた。③の活動では、リズムループづくりを手軽に楽しむアプリを活用し、児童が楽しみながらもプログラミング的思考を活かして音楽的な試行錯誤を行っていく学習展開を構築することで、音楽科授業におけるプログラミング教育の在り方についての検証を進めることができた。
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