Outline of Annual Research Achievements |
本研究は, 中学校2年生「図形」領域において「子どもたちによるレポートの査読評価活動」を取り入れた授業モデルの提案を行うこと, および, 学習動機の2要因モデル(市川)により動機づけの観点から教材の有効性や授業実施時の留意点を明らかにすることを主目的として遂行された。ただし, 本研究では, 査読評価活動を「グループで作成したレポートに対し, 他のグループから不十分な点を指摘させる相互評価活動であり, 研究者が行う査読を模して行う活動」と定めている。 本研究では, 先行研究をもとにし「平行四辺形の成立条件」をテーマとした査読評価活動を含む教材(全5時間)を開発した。具体的には, 教科書で扱われている成立条件を2つの条件の組み合わせと見なし, 他の組み合わせを条件として考えた場合に成立条件と言えるかどうかについてグループでレポートを書かせ, それをもとにして査読評価活動を行わせる内容を構成した。11~12月にかけてこの授業を実施し, 学習動機の2要因モデル(市川)に基づいた事前アンケート・事後アンケートの比較, およびワークシートの分析により, 査読評価活動の有効性や実施の留意点を明らかにしようとした。 本研究により, 「査読評価活動」を中心としたアクティブ・ラーニング型授業について, 生徒全員の学習動機に一様に作用するものではないこと, 生徒の充実志向・訓練志向の学習動機をよい方向に刺激する可能性があること, 発生する双方向的なコミュニケーションは「まわりにつられて」のような単純な動機には直結しないこと, などを見いだすことができた。
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