Outline of Annual Research Achievements |
「表」に関する意識調査を行った後, 結果に基づき「表」の有用性の感得を促進すると考えられる教材を用いて実証的研究を行った。 まず, 意識調査については次のような手順で進め, 結果を得た。小学校高学年児童273名を対象に, 学習者が, どういった「表」に対する印象をもっているのか, 学習者の算数の能力が「表」の印象や有用性に関する意識調査を行った。この結果, 学習者は, 「表」そのものを「楽しい」ものとしてみていない傾向にあることがわかった。また, 「表」に対する理解は, 「表」に対する難易の印象に関係していることや「表」をよみとることや「表」にかきこむことには一定の学習効果や今後の期待がうかがえた。加えて, 「表」から規則を見出すこと, 「表」を式化することや「表」の空欄に数を入れることは算数を不得意とする学習者には困難性を伴う数学的活動であることがわかった。 そこで, これらの意識調査の結果をもとに, 自ら考えて「表」を完成させることができれば, 説明の機会が増し, 不得意とする「表をよみといて, そこからいえることを説明する」ことが期待できる。換言すれば, 授業者には, 学習者の主体的な学びを漸進させるために, 「表に数を書き込む」教材による数学的活動を授業過程で取り入れることが, 一層求められるといえる。 このため, 「アリスモゴン」を用いて問題に取り組んだ結果を「表」に書きこむことで規則性を発見させた。また, ジオボードで面積1cm^22cm^23cm^24cm^2となる図形をつくることで, それぞれの通っているくぎの本数と内部のくぎの本数などから, 「表」を用いて, ピックの法則を考えさせた。なお, 低学年では, 四角形に並べたカードの周りの長さを「表」を用いて整理させた。
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