Outline of Annual Research Achievements |
○研究目的 協同学習の成立条件に、5つの基本要素(Johnson, Johnson, &Holubec, 1993)がある。その中の互恵的な相互依存性は, 行動分析学において集団随伴性と呼ばれ、強化子の呈示方法により「非依存型」「相互依存型」「依存型」の三つのシステムに分類されている(小島2000)。 本研究では, 知的障害特別支援学校小学部低学年の児童を対象に, 集団随伴性(非依存型, 相互依存型)を適用したゲーム活動を実施し, 活動条件の違いがゲーム中の児童の仲間への注目の生起に与える影響を検討した。 ○研究方法 対象児4名(A児, B児, C児, D児 : 小1~2年 : 広汎性発達障害)に「箱つみゲーム」を19回実施した。内訳は, 条件1(5回), 条件2(8回), 条件3(6回)である。箱は一人10個積み上げた。 条件1は個人戦で, 条件2, 3においては, ペア(A児-B児, C児-D児)で実施し, 集団随伴性を適用した。条件1(非依存型)では, 各個人が時間内に10個の箱を積み上げることができるとシールを渡した。 条件2(相互依存型Ⅰ)では, ペアで10個の箱を同じ場所に時間内に積み上げることができるとシールを渡した。条件3(相互依存型Ⅱ)では, ペアで箱を運んで渡す役と箱を受け取り積み上げる役に分かれ実施し, 10個の箱を時間内に積み上げることができるとシールを渡した。記録は, 録画したVTRを利用し, 10個の箱を積む間に相手の行為に注目した回数を測定した。 ○研究成果 結果, 対象児4名とも, 条件1(非依存型)よりも条件2, 3(相互依存型)で仲間への注目の生起率が高くなった。また, 同じ相互依存型集団随伴性でも, 活動形態により違いが見られた。同時に箱を積み上げる個別の活動形態(条件2)よりも, 箱を運んで渡す役, 箱を積み上げる役と役割を明確にした協同行為の活動形態(条件3)の方が仲間への注目を促すことが示唆された。
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