Project/Area Number |
17H00306
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
化学
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Research Institution | 愛知県警察本部 刑事部科学搜査研究所化学鑑定室 |
Principal Investigator |
鈴木 信明 愛知県警察本部 刑事部科学搜査研究所化学鑑定室, 警察職員
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Project Period (FY) |
2017
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2017)
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Budget Amount *help |
¥490,000 (Direct Cost: ¥490,000)
Fiscal Year 2017: ¥490,000 (Direct Cost: ¥490,000)
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Keywords | 金ナノ粒子 / 射撃残渣 / バリウムイオン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、バリウムイオン特異的に反応して色調変化する金ナノ粒子を利用して、射撃残渣のスクリーニング手法の開発を目指した。 Shrivas等によって報告された手法に則り、マロン酸が配位した金ナノ粒子を調製した。その結果、文献にある検出感度には劣るが、バリウムイオン標準液の添加で色調変化を観察できた。その後、検出感度向上のために様々な条件を検討したが、改善は認められなかった。 次に、射撃実験を行い、過去の文献情報で射撃残渣の付着が最も多いとされる射撃手の右手を、超純水で湿らせた綿棒で拭い射撃残渣を採取した。また、Negative Control群として、当研究所員4名の右手からも同様の方法で採取した。拭った綿棒は1mLの超純水に浸して超音波処理し、この溶液を試料とした。金ナノ粒子にそれぞれの試料を添加した結果、Negative Control群含む全ての試料で色調が変化した。EDTAを添加した金ナノ粒子では、試料を添加しても色調変化は認められなかったことから、汗等に含まれ皮膚表面に豊富に存在し、EDTAとキレート形成することが知られる、カルシウムイオンによる影響を推測した。そして、金ナノ粒子にカルシウム標準液を添加した結果、色調変化が確認され、その感度はバリウムイオンよりも高かった。さらに、イオンクロマトグラフィーを用いて、各試料中のバリウムイオン及びカルシウムイオン濃度を測定したところ、全ての試料でバリウムイオン濃度は1μg/mL未満であり、カルシウムイオン濃度は14-57μg/mLであった。以上から、金ナノ粒子の色調変化の原因はカルシウムイオンであると判断した。 本研究の結果、射撃手の右手に付着しているバリウムイオンは非常に少なく、また、金ナノ粒子は皮膚表面に豊富に存在するカルシウムイオンにも反応してしまうことから、金ナノ粒子を利用して射撃残渣を検出することは難しいと判断した。
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