Outline of Annual Research Achievements |
近年, 地球温暖化やエネルギー資源の枯渇が問題となっているが, 氷蓄熱システムは, 夜間電力を用いて氷を製造し, 昼間に冷熱源として建物内の冷房に利用することで, 昼間の最大電力の削減や環境負荷の低減を可能にしている. 冷熱源となる氷の成長を促進させる方法は多数存在するが, 凍らせる水に固体粒子を混ぜ, 多孔質層を構成することでもまた大きな促進効果が期待できる. そのため, 多孔質層内の凍結現象についての数値シミュレーションにおける計算手法を検討することは大いに意義のあることといえる. これまでには, 多孔質内の水の凍結実験および多孔質を構成する水と固体粒子を一つの物質とみなす「シングルドメイン法」を用いた数値シミュレーションを行い, 実験とシミュレーションそれぞれの結果からシングルドメイン法の妥当性を検討した. 本研究では, 水と固体粒子をそれぞれ別の物質として取り扱う「マルチドメイン法」を用いて多孔質内の凍結問題について数値シミュレーションを行い, 水中に配置された固体粒子が凍結挙動に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする. 数値シミュレーションを行うにあたり次のような計算モデルを作製した。計算モデルは, 高さ20mm, 幅20mm, 奥行き20mmの立方体容器とし, 右壁面が温度-10℃で一定の冷却面, それ以外の壁面は全て断熱とした. 容器内部は, ガラスの固体粒子を模した立方体を等間隔に格子状に配置し, その空隙を初期温度12℃の水で満たした. 以上の条件で数値計算を行い, 本数値計算条件の範囲内で次のことが明らかになった. ・立方体容器内に配置した固体粒子の直径を大きくしていくと, 単位時間あたりの水の凍結量は小さくなる. ・立方体容器内に配置した固体粒子の配置間隔を大きくしていくと, 単位時間あたりの水の凍結量は小さくなる.
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