Outline of Annual Research Achievements |
我が国は, 昨今, 巨大地震の発生や甚大な集中豪雨等により壊滅的な被害を受けた。今後も南海トラフ巨大地震等の発生や火災や水害, 落雷等で事業所が大きな被害を受けることが懸念されている。そのため, データやシステムは破損や消失を防ぐため, 事業所内に保存するのではなくデータセンタ等の災害に強い場所に保存することが望ましいが, データセンタの利用には高額なランニングコストに加え, 一朝有事の際, サーバルームへの入室手続きがとても煩雑である。 既存の研究として, 各事業所にRAID対応のネットワーク対応ストレージ(NAS)を設置し, データの冗長性を図る。その上で更に各拠点に設置したNASを1台のHDDとして捉え, 各拠点を纏めて1台の擬似的なNASとして運用することで更に冗長化を持たせた。次に, 各拠点のNAS容量の不一致での運用, コントローラの冗長化にも対応した。また, 各拠点からの申込フォームを作成し, システムへの参加を容易とするシステムの構築を行った。 本研究では, 既存の研究に加え, ソフトウェアRAID処理の際, 各データのパリティ作成に異常に時間がかかるという既知の問題点を解決するため, CPU, GPU, ネットワークによる各並列処理を行うことで処理速度の向上を行った。まず, CPU, GPUについては, OpenCLというフレームワークを用い, パリティ作成箇所にて並列処理を行うためのプログラム開発を行った。次に, ネットワーク分散処理については, dRubyという分散の仕組みを用いることでファイル毎に負荷分散が行える仕組みを開発した。 OpenCLを用い, 10MB, 100MBのファイルについてパリティ作成を行ったところ, CPUについては260倍~290倍程度, GPUについては250倍~280倍程度まで高速化することができた。dRubyを用いることで複数のファイルを同時に処理することが可能となった。
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