Outline of Annual Research Achievements |
秋田県平野部は有機分を含む軟弱地盤が広く分布しており構造物建設にあたっては地盤の沈下やせん断破壊などに特別な対策が必要となることが多い。これまで軟弱地盤対策の一つとして, 品質の安定した人工的な粘土材料にごみ溶融施設から排出されるごみ溶融スラグを混合して新たな地盤改良材を開発, 技術提案をしてきたが原位置に堆積する自然粘性土への適用性は分かっていなかった。本研究では秋田市内から採取した自然粘性土とごみ溶融スラグを混合して原位置粘性土に開発技術が適用となる可能性を調べるとともに, 環境配慮の観点から混合土の重金属溶出成分による環境評価についても検討する。 粘性土は秋田市上北手地区から採取したものであり, スラグは秋田市総合環境センターの溶融施設から排出されたものである。スラグは二酸化ケイ素を含有していることから, 粉砕によって潜在水硬性が発揮されるため粒径を250μmとした。実施した強度試験は一軸圧縮試験であって, 以下の3種類の実験条件に基づいて行った。1)粘性土のみによる圧縮試験。2)粘性土とスラグの混合土による圧縮試験。粘性土とスラグの混合割合はそれぞれ乾燥重量比で25, 50, 75%とした。3)粘性土とスラグの混合土に消石灰を添加し, 所定の養生期間後の圧縮試験。粘性土とスラグの混合割合は2)と同じで, 消石灰添加率は5, 10, 15%とし, これらの混合土に対してそれぞれ養生期間を3, 7, 10, 28, 90日に設定した。なお, 1)~3)の試験で使用した材料の含水比は最適含水比によるものとした。 その結果から, 消石灰添加率にかかわらず自然粘性土にスラグ混合割合が増加するほど強度増大の傾向を示し, 開発技術の適用から軟弱地盤対策としての改良効果が認められた。混合土を道路路盤材に活用した場合, スラグ混合割合25%に消石灰10%, 養生期間10日程度でコンクリート舗装における下層路盤材の要求強度(500kN/㎡)およびアスファルト舗装における下層路盤材の要求強度(700kN/㎡)を確保できることが認められた。環境評価についてスラグ単体および各混合土の含有量, 溶出量試験結果から鉛, カドミウム, 六価クロムに関して環境基準を満たした。
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