Outline of Annual Research Achievements |
○研究目的 非天然由来であるが生分解性のα-ホモポリL-リジン(αPLL)は30mer程度以上で殺菌能を有することが報告されており, 組換え微生物を用いて大量生産が期待できる。本研究では, 生分解性殺菌剤としてのαPLLの発現株の樹立とその生産を目的として, イオン交換樹脂を充填したバイオリアクターによるαPLLの分泌生産と分離を同時に行う新規生産システムの開発を行う。 ○研究方法 リジンのコドンはAAAまたはAAGであるため, 単純塩基配列となる長鎖αPLLのcDNAを人工合成することは難しい。そこで合成可能な短鎖cDNAを試験管内で連結する方法をデザインし, 得られた連結体をベクターに挿入して微生物を形質転換することにより安定的なαPLL分泌生産株を得る。一方, 陽イオン交換樹脂の流動層を有し, 菌体外に分泌されたαPLLの吸着分離を可能にするエアリフト型バイオリアクターを作成すると共に, 流動層形成に及ぼす操作条件を調べる。 ○研究成果 長鎖αPLL生産後のキモトリプシン分解によって一度に大量の35mer αPLLを得ることを企図して, 35mer αPLL cDNAの繰り返し連結が可能で連結点にはフェニルアラニンのコドンが生じるようなDNAカセットをデザインして合成委託した。これを用いて実験を行い, 計画どおりフェニルアラニンのコドンを介して35mer αPLLのcDNAを繰り返し伸長できることをDNAシーケシングにより確認した。また, 大腸菌ならびにBrevibacillusを形質転換してαPLLの発現を調べたところ, 発現量は低かった。これは, コドンAAAの割合が高いことが原因であり, AAGの割合を増やす必要があると考えられた。一方, 陽イオン交換樹脂の流動層形成に及ぼすバイオリアクターの形状および通気速度の影響について検討した。その結果, イオン交換樹脂充填カラムを培養塔の外に設置した外部循環型のバイオリアクターがαPLLの分泌生産と分離を同時に行うのに適している事がわかった。
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