血液適合性高分子材料における癌細胞の運動性制御メカニズムの解析
Project/Area Number |
17H00408
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
工学Ⅳ(材料・生物工学系)
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
TSAI Meng-Yu 九州大学, 先導物質化学研究所, テクニカルスタッフ
|
Project Period (FY) |
2017
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2017)
|
Budget Amount *help |
¥550,000 (Direct Cost: ¥550,000)
Fiscal Year 2017: ¥550,000 (Direct Cost: ¥550,000)
|
Keywords | 血液適合性高分子 / 癌細胞 / 細胞運動性 |
Outline of Annual Research Achievements |
○研究目的 : 日本において死因トップの癌疾患が増加する中、癌の超早期診断システムや生体接触型の医療デバイスの開発が急務である。従来の血液適合性高分子材料はタンパク質の吸着・変性や様々な細胞の接着が生じないものであったが、近年、優れた抗血栓性を有示すpoly(2-methoxyethyl acrylate)(PMEA)において血球系細胞は接着せずに特定の癌細胞が選択的に接着して機能制御を受けることが確認された。しかし、このPMEA表面においてどのようにして癌細胞が選択的に接着して細胞機能が制御されるのか、そのメカニズムの詳細は不明である。本研究では各種高分子材料表面において癌細胞の認識性および癌の浸潤・転移に深く関与する運動性の計測とシグナル伝達機構の解析を行い、癌細胞の認識性、運動制御メカニズムの解明を目的とした。 ○研究方法 : 手法として、まずPMEAおよびその類似体におけるヒト線維肉腫細胞(HT1080)の認識性を評価した。また各高分子基板におけるタイムラプス観察により癌細胞の運動変化を計測し、移動速度と方向性などを指標として細胞運動の指向性を評価した。 ○研究成果 : 一定量の中間水を有するPMEA及びその類似体における癌細胞の接着数はほかの高分子材料より多いことが確認された。また、癌細胞の形態は丸く伸展面積がほかの高分子材料より小さいことが分かった。さらに、各種高分子材料表面においてHT1080細胞の移動速度や運動方向に違いが確認された。特に中間水を有するPMEA上の移動速度と方向性は他の高分子材料より低いことが確認された。これらの結果から、癌細胞の認識性や運動性の制御には中間水が深く関与することが示唆された。本研究の結果をもとに高分子材料そのものの制癌作用を利用して副作用のない新規医療デバイスへの応用につながることが期待できる。
|
Report
(1 results)
Research Products
(2 results)