樹冠における開葉時期の差異が枝と幹の道管形成に与える影響
Project/Area Number |
17H00448
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
農学A
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 さやか 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 教務補佐員
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Project Period (FY) |
2017
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2017)
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Budget Amount *help |
¥550,000 (Direct Cost: ¥550,000)
Fiscal Year 2017: ¥550,000 (Direct Cost: ¥550,000)
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Keywords | 葉のフェノロジー / 温帯落葉広葉樹 / 道管配列(環孔材・散孔材) |
Outline of Annual Research Achievements |
早春に樹木が開葉するとき、樹冠全体が一斉に開葉することは稀であり、各枝で少しずつ開葉時期が異なっている。樹木の枝の道管形成時期にも樹種によるバラツキがあることが知られているが、樹冠における開葉の進行過程と枝の道管の進行過程との関係についてはあまりよく知られていない。本研究では、森林を構成している各樹木が、いつ、どのように成長しているのかに着目し、道管配列の異なる樹種の成長様式の違いを解明することを目的として、樹木における開葉時期のバラツキが枝の道管形成時期にどのような影響を与えているのかを調べた。 京都大学フィールド科学教育研究センター附属上賀茂試験地を調査地とし、散孔材樹種のブナ5本およびタマミズキ3本、環孔材樹種のクヌギ5本について、開葉前の4月上旬から週に2回、異なる開葉段階の枝葉と幹の成長錐コアを採取し、道管の木化時期を調べた。また、試料採取と同時に採取した枝の開葉の進行具合を調べた。 その結果、枝と幹の道管形成の時期の差は散孔材樹種で環孔材樹種よりも長かった。散孔材樹種のタマミズキでは開葉の段階が、芽、開芽、開葉、葉拡大中と進むにつれ、枝における木化した道管が増加し、道管の大きさが大きくなった。また、散孔材樹種のブナでは、葉の形成が枝の道管形成に優先し、環孔材樹種のクヌギでは葉の形成が道管形成と同調する傾向があった。さらに同日における開葉の進行過程が異なる枝を比較したときに、道管の形成過程が同じであるものも見られた。従って、枝の道管形成の進行具合が葉の発達と日時に関係があることが明らかとなった。以上のことから、葉のフェノロジーの段階と、枝の道管形成の間に樹種によってそれぞれ関係があること、道管形成と開葉の時期は樹冠の枝によって異なり、樹種によって道管形成と葉の形成の優先順位が異なることが推測できた。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)