Project/Area Number |
17H00539
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
薬学Ⅲ-B
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
稲垣 孝行 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院薬剤師
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Project Period (FY) |
2017
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2017)
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Budget Amount *help |
¥550,000 (Direct Cost: ¥550,000)
Fiscal Year 2017: ¥550,000 (Direct Cost: ¥550,000)
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Keywords | 次世代シーケンサー / 非結核性抗酸菌 / 病原性遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】Mycobacterium avium complex(MAC)症は、非結核性抗酸菌症の8割を占め、感染様式、感染経路、病態等が不明で、有効性の高い治療薬がない難治性感染症である。次世代シーケンサーを用いてM. aviumの全ゲノム配列を解析し、ゲノムマッピング法にて既知のゲノム基準株と比較し、日本株、韓国株、欧米株における菌遺伝子の相違を明らかにする。さらに日本株に特有の病原性遺伝子の探索を目的とする。MAC症の病態解明を最終目標とする。 【研究方法】分子疫学的解析法のVariable Numbers of Tandem Repeats型別解析法にて異なる遺伝子背景を示したM. avium臨床分離株(韓国株と欧米株の合計32菌株)を対象とした。各菌株より抽出されたDNAを断片化し、DNAライブラリーを作製した後、MiSeqにてシーケンス解析を実施した。得られた配列からin silicoで de novoアセンブルし、コンティグを作成した。全ゲノムが判明している日本株のM. avium TH135株にゲノムマッピングを実施した。TH135株特有の遺伝子領域(10, 000 bp以上マッピングされなかった領域)に含まれるタンパク質コード配列(CDS)を算出し、病原性遺伝子領域を探索した。 【研究成果】全ての欧米株に関しては、DNAの質が十分でないことが判明し、シーケンス解析が困難であった。従って、韓国株のみシーケンス解析を実施した。韓国株32検体の推定ゲノムサイズは平均5.915Mb、コンティグ数は平均1614.3個、GC含有量は平均67.4%であった。TH135株特有の遺伝子領域は、6領域が検出された。各領域から算出したCDS数は平均17.5個であり、うち6個が病原性に関わるmammaliancell entry(mce)遺伝子であった。 【意義・重要性】本研究により、日本でMAC症の罹患率が急増している原因の解明に繋がる可能性のある日本株に特有の病原性遺伝子領域を検出した。今後、相同性と保有状況について、保存している各国の臨床分離株(合計261菌株)の調査および欧米株のシーケンス解析を予定しており、各菌株由来患者の臨床データの照合することにより、病態予測が可能になると推測される。
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