Outline of Annual Research Achievements |
【目的】薬学教育モデル・コアカリキュラム(以下コアカリ)の改訂に伴い, 薬物治療に関して, 全ての実習生がどの実習施設でも標準的な疾患について広く学ぶことを目的に, 代表的8疾患(がん, 高血圧症, 糖尿病, 心疾患, 脳血管障害, 精神神経疾患, 免疫・アレルギー疾患, 感染症)が提示された。代表的8疾患を十分に体験するには, 大学-薬局-病院の連携が極めて重要となる。そこで実習生が体験した症例について記載するための症例体験リスト(以下リスト)を薬局から病院への連携ツールとして作成し, 体験が実行可能であったか検証した。 【方法】平成29年度第1期に薬局で実習後, 第2期に岡山大学病院(以下当院)で実習を行った岡山大学の実習生16名を対象とした。薬局で作成したリスト, 当院病棟実習5週間(一般病棟4週間, 超急性期病棟1週間)で体験した症例を併せて, 代表的8疾患の体験状況を後方視的に解析した。本研究は岡山大学倫理委員会の承認(研1710-011)を得て行った。 【結果】リストを解析した結果, 薬局実習終了時点で8疾患全てを体験できた学生は16名中12名(75%)であった。病院実習での症例を併せると, 16名中14名(87%)が8疾患全てを体験できていた。学生別では, 薬局で体験の少なかった疾患のうち, がん, 心疾患, 感染症を中心に病院で補完できていた。しかしながら, 脳血管障害に関しては薬局・病院併せても体験できていない場合があった。 【考察】薬局でのリストを基に病院で実習する診療科を検討したことで, 薬局で体験した内容を病院で補完できていた。今回用いた連携ツールは, 薬局での体験状況を把握することができ, 薬局・病院が連携して代表的8疾患を実施するために有用であることが示唆された。8疾患全てを満たしていない理由としては, 脳血管障害が体験できなかった場合や, 症例記録が不十分な場合があった。今後は疾患に留まらず薬物治療の内容にも注目し, 学びの深さについても検討する必要があると考え, 現在解析中である。
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