Outline of Annual Research Achievements |
【目的】薬剤を適正に使用する上で基本となる情報は添付文書に基づく情報であり、この情報に基づいて薬剤師が処方鑑査を行うことが重要である。さらに適正な処方鑑査を実施するためには、調剤時にリアルタイムで臨床検査データや基礎疾患などの患者情報を把握し、評価することが必要になる。本研究では、新たな処方鑑査支援システムを開発し、システムの有用性および問題点について評価した。 【方法】肝・腎機能、カリウム、などは基準値を逸脱した場合のみ数値を出力することとした。PT-INRと特定管理薬剤の血中濃度値は採血結果を出力することとした。腎排泄薬剤の適正使用においては 該当薬剤の処方出力時に、添付文書に記載された腎機能低下時の用量情報と CKD診療ガイド30版等を基に、各薬剤の投与量調節をチェックリストに出力し監査を容易に行うこととした。添付文書に記載された病名禁忌情報とレセプトに記載された病名でチェックをかけることとした。 2017年9月から2018年2月までの院内処方せんを対象に、疑義照会を行った項目について調査した。そのうち、検査値等を利用した疑義照会事例を収集し、利用された検査項目を調査した。 【結果・考察】調査期間中の院内処方せんは60,974枚、疑義照会を行った処方せんは862枚で、うち処方鑑査支援システムを用いた疑義照会は150件あり、Cockcroft-Gault式によって得られた推算クレアチニンクリアランスを用いた腎排泄薬剤の適正使用が125件、PT-INR 7件、ASTなどの血清値4件の順であった。他に特定管理薬剤における血中濃度未測定による測定依頼10件、病名禁忌4件であった。 このように臨床検査データおよび病名情報等が転送される処方鑑査支援システムを構築することは安全な薬物療法の推進に寄与できることが示唆された。 現在、各検査値における基準値の適正化など検討している。
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