多量体アポ蛋白Mを用いたHDLの多面的効果の臨床検査医学への導入
Project/Area Number |
17H00655
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
臨床医学C
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 玉宜 東京大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師
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Project Period (FY) |
2017
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2017)
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Budget Amount *help |
¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2017: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
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Keywords | 糖化HDL / スフィンゴシン1リン酸(S1P) / アポリポ蛋白M(ApoM) |
Outline of Annual Research Achievements |
HDLは従来コレステロール逆転送における抗動脈作用はよく知られているが、近年は抗酸化作用や抗炎症作用といった多面的効果が注目されている。また、スフィンゴシン1-リン酸(S1P)がHDLのApoMに結合していることが明らかとなったことでHDLの多面的効果がS1Pの生理活性作用に由来するものであると考えられている。我々はHDLの翻訳後修飾が及ぼす影響を調べるために、メチルグリオキサール(MG)を用いて糖化HDLを作成した。はじめに、ウエスタンブロッティング解析を施行したところ、MG濃度依存的にApoMの多量体化が引き起こされていることが明らかとなった。さらに、S1PアナログのC_<17>S1Pを用いて糖化HDLのC_<17>S1Pへの親和性を確認したところ、糖化HDLではC17S1Pへの親和性が有意に低下していることが明らかとなった。これらの実験から、多量体化ApoMがS1P親和性に影響していることが考えられた。次に、多量体化ApoMの形成機序を明らかにする実験を行った。まず、糖鎖切断酵素(PNGase F、Glycosidase、Neuraminidase)で処理したところ、ApoMの糖鎖切断は確認できたが、多量体化ApoMは分解されなかった。次に、終末糖化産物(AGEs)の形成阻害剤として知られるaminoguanidine(AG)、L-arginine、alagebriumを用いたところ、いずれのAGEs形成阻害剤においても多量体化ApoMの産生が抑制された。したがって、多量体化ApoMにはAGEsの形成が関与していると考えられた。このことから、AGEs形成阻害剤を用いることで糖化HDLにおけるC_<17>S1P親和性が改善することが予測された。しかしながら、AGEs形成阻害剤添加糖化HDLにおけるC_<17>S1P親和性は改善しなかった。この原因を明らかにする目的で二次元蛋白電気泳動を施行した。糖化HDLで認められるバンドは酸性側に移動しているが、AGEs形成阻害剤添加糖化HDLにおいてはバンドの移動は認めなかった。しかしながら、わずかな多量体化ApoMが検出された。このことは、わずかな多量体化ApoMの存在がS1P親和性の低下を示唆している。したがって、多量体化ApoMの検出はHDLの質的評価をするために有用であると考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
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