Outline of Annual Research Achievements |
先行研究において, 干渉波は大唾液腺を支配する自律神経や自律神経節の一部を刺激することで, 刺激性唾液の分泌促進効果があることが示唆された. このことから, 干渉波刺激装置の使用を継続することで唾液分泌促進が得られるのか, さらには継続により持続効果が期待できる使用期間を探索することが目的である. 被験者は, 主観的評価かつサクソンテストからドライマウスと診断された者である. 今回の研究では, 頭頸部がんに対する放射線治療の既往のある者3名(男:女=2:1), シェーグレン症候群4名(男:女=0:4)の計7名に実施した. 被験者の平均年齢は, 59.4歳である. 自宅で毎日30分間干渉波刺激装置を使用し, 3週間唾液分泌量の変化を調べた. 装置の使用方法や刺激部位などは事前に説明を行った. 1週間ごとに来院し, 干渉波刺激前1回, 使用期間中3回, 刺激後1回の計5回唾液の採取を行った. 干渉波刺激前に比べると, 刺激期間中は, 個人差があったものの, 刺激1回目では2.5倍, 2回目3.0倍, 3回目2.5倍, 4回目3.1倍唾液の増加を認めた. 刺激期間中の唾液量は採取できなかったが, 刺激後の唾液量は, 刺激前よりも増加傾向であった. 唾液の採取とともに来院ごとに口腔のアセスメントを実施した. 実施項目は, 開口, 口臭, 流誕, 口腔乾燥度・唾液, 歯・義歯, 粘膜(舌・口唇・歯肉)である. 簡易的に口腔乾燥を評価したところ, それぞれの評価項目に改善はなかったが, 刺激期間中の口腔乾燥の自覚症状の緩和および口角炎の改善を認めた者もいた. 今回の研究では, 干渉波刺激装置の使用を継続することで唾液分泌の促進がみられる患者が存在すること, 口腔乾燥に対する自覚症状が軽減すること, 口腔乾燥による口角炎の改善をみる患者がいたことが明らかになった. しかし, 被験者が少ないこともありデータにばらつきがあったため, 今後は, 継続して被験者を増やして, さらなるデータの蓄積を図る必要がある.
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